IoT(Internet of Things)とホームネットワーク

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、その言葉のように、様々な物(モノ)がインターネットにつながって、 情報・データを通信するようになることを意味しています。
インターネットに接続する物は当初はパソコンやサーバー機器などのIT機器が中心でしたが、その後、 身近な携帯電話やスマートフォンがインターネットを利用するようになり、 更に、テレビやラジオもインターネットに接続されて放送を視聴できるようになっています。 また、生活家電製品もインターネットに接続されるようになって、インターネットを利用する物が増えてきました。

しかし、IoT(モノのインターネット)では、以下の図1のように、あらゆる物に通信機能を持たせてIoTデバイス化して、 あらゆる物がインターネットにつながって情報・データをやり取りすることまでも含まれています。
更に、物(モノ)から得られる情報・データを使って物の状態を自動的に認識したり、自動で制御したり、 リモートで操作を行えることもIoTの特徴になっています。

また、IoTは様々な分野の物が対象になります。例えば、身の回りでは歩数/心拍数等が管理できるリストバンド型の活動量計や、 スマートホームシステムの人感センサー/ドア開閉センサーなどがIoTデバイスとなりますが、 これらの物から得られたデータはインターネットを経由してクラウドサーバー等に集められ、 解析・処理した結果をスマートフォン等で確認できるようになっています。 (図1を参照))
更に、上記のような身近な例だけでなく、IoTは農業、工業などの産業分野からサービス産業まで幅広く関係しており、 様々なモノに情報のセンサー機能と通信機能を持たせて、インターネットを利用した情報処理を行うようになってきました。

IoTが特に注目されるようになったのは2015年頃からですが、その背景としては、IoTを実現するための重要な技術が進展・充実してきた点が挙げられます。
その主要技術にはセンサー技術と通信技術がありますが、小型で高性能な各種センサーや通信チップが低コストで入手できるようになっています。
また、莫大な数のモノから得られるデータは集積していくと大量になりますが、 これらを解析/分析するソフトウェア技術や高速処理技術もIoTの重要な要素となります。

以下では、IoTが関わっている様々な分野・用途の中から、ホームネットワークに関連するIoTに着目して、 IoTが家庭内やホームネットワークでどのように使われているかを実例を挙げて紹介していきます。

図1 モノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)

モノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)






IoT(モノのインターネット)の概要

IoTとは、あらゆる物(モノ)がインターネットに接続されて、モノの情報・データが通信されることになります。 このようなIoTを支える重要な技術としては、モノの情報やデータを知るためのセンサー技術と、 得られた情報・データを他のモノや機器に伝えたり、インターネット上でやり取りするための通信技術が挙げられます。
また、集められたデータを高速に処理するハードウェア/ソフトウェア技術も重要な要素となります。

家庭内ではIoTデバイスのデータがどのように通信されるかを表した概略図を図2に掲載しました。 インターネットに接続できる機能を備えた物(モノ)「IoTデバイス」に内蔵されているセンサーで検知した情報・データは、 まずIoTのゲートウェア装置(専用機器やスマートフォンなど)に伝えられます。 ゲートウェイは有線や無線でホームネットワークに接続されているので、 ルーターを経由してインターネットに接続されます。 そしてインターネット上のクラウド・サーバーにデータが送られることになります。


センサー技術について
モノやその周りの状態を知るには様々な機能を持つセンサーを用いることになります。 このようなセンサーの例を以下にまとめてみました。 これらは単体のセンサー製品として販売されていたり、あるいは何かの機器(モノ)の中に内蔵されて使われます。

  • 環境センサー:温度、湿度、気圧、照度(明るさ)、騒音、他
  • モーションセンサー:加速度、傾き、移動、振動、落下、他
  • 位置センサー:GPS、近接、通過、他
  • 開閉センサー:ドア、窓、戸棚、カーテン、他
  • 人感センサー:赤外線、超音波、他
  • 物質センサー:水分、糖分、塩分、他

例えば、温度センサーを備えた物(モノ)が検知した部屋の温度情報を外出先などでスマートフォンで確認できれば、 スマートフォンを用いて部屋のエアコンを操作して室温を変えることができます。
状態を感知するためのこれらの各種センサーは、超小型化、高性能化されるようになり、更に、 低コストで入手できるようになったのでIoTが進展するのに役立っています。


通信技術について
各種センサーで得られた情報・データは何らかの通信手段でパソコンやスマートフォン等に取り込んで処理したり、 インターネット上のサーバー装置などに送って解析/データ処理等を行う必要があります。
あらゆるモノにセンサーを内蔵して、そのデータを通信するには、通信デバイスも小型で低消費電力、低コストである必要があります。 但し、センサーのデータ量/情報量は通常は大きくないので通信速度は重要でないのが一般的です。
また、通信する距離については、センサーが内蔵されているIoTデバイスから家庭内のゲートウェイまで通信できればよいので、 数mから数10m程度で大丈夫です。
このような条件を満たす通信技術/通信方式として、IoTでは下記のような近距離無線の規格が一般的に利用されています。

  • Bluetooth(IEEE802.15.1);
    周波数:2.4GHz、通信速度:1〜24Mbps、通信距離:数m〜数10m
  • ZigBee(IEEE802.15.4);
    周波数:2.4GHz、通信速度:20〜250kbps、通信距離:1m〜3km
  • Z-Wave(Z-Waveアライアンス);
    周波数:900MHz帯、通信速度:9.6k/40kbps、通信距離:屋外で約30m

また、ホームネットワーク(家庭内LAN)で利用されているWi-FiもIoTデバイスの中に内蔵できれば利用されることがあります。

IoTの通信の概要を表した関係図(図2)のように、IoTデバイスはBluetoothやZigBeeなどによりゲートウェイと通信して、 センサーのデータをゲートウェイに受け渡します。更に、ゲートウェイはホームネットワーク(有線/無線)に接続されて、 IP通信によりルーターを経由してインターネットに接続されることになります。
例えば、リストバンド型の活動量計で得られた歩数や消費カロリー等のデータはBluetoothでスマートフォンに送られ、 更にLANや公衆回線(LTE/3Gなど)を経由して活動量計のメーカーのクラウドサーバーなどに送られてデータベース化されます。


データ処理技術について
IoTデバイスのデータはゲートウェイを介してインターネット上に送られ、インターネットに接続されているクラウドサーバーで処理することができます。 このゲートウェイは専用装置が使われるか、あるいはスマートフォンやパソコンが使われますが、 処理するデータ量が少ない場合はこれらのローカルな機器で処理することもできます。
しかし、IoTデバイスからのデータ量が多かったり、IoTデバイスの数が多い場合は、 クラウドやサーバーにデータが集められて処理されることになります。 このような集められたデータはビッグデータなどとも呼ばれており、 分析・処理した結果はパソコンやスマートフォンからアクセスして利用することもできます。


図2 IoTデバイスをインターネットに接続

IoTデバイスをインターネットに接続




家庭内でのIoTの使われ方

家庭内ではホームネットワークを利用してパソコン/周辺機器やAV家電など様々な機器が互いに通信したりインターネットに接続できるようになりました。 特に、無線LANのWi-Fiを利用すればどのような場所の機器でもワイヤレスで通信できるようになっています。

IoTデバイスの場合は家庭内では一般的にIoT用のゲートウェイ装置(専用装置やスマートフォン等)を介してホームネットワークに接続され、 更にルーターを経由してインターネットに接続されます。
家庭内ではどのようなIoTデバイスが実際に利用されているかについて、いくつかの事例を以下に紹介します。

スマートホームのIoTデバイス
スマートホームでは、ホームオートメーションやホームセキュリティのために様々なIoTデバイスが利用されています。

  • 赤外学習リモコン:
    温度センサーを内蔵したWi-Fi対応の赤外学習リモコン「 eRemote
    照度センサー、温度センサーを内蔵した赤外学習リモコン「 iRemocon
  • スマート家電:
    冷蔵庫、洗濯機、コーヒーメーカーなどがインターネット経由でメンテナンス
  • ネットワークカメラ(IPカメラ):
    人感/温度センサーも内蔵したQwatch「 TS-WRLP 」 が製品化
  • ドア開閉センサー、人感センサー:
    スマートホームシステムの構成要素として製品化されている
    (例)パナソニックのスマ@ホームシステム、等

スマートホームシステムの製品例については下記のページをご覧ください。
 「スマートホームシステムの製品動向

図3 スマートホームシステムのIoT

スマートホームシステムのIoT


ウェアラブルデバイス
ウェアラブルデバイスとは、身体に着けて持ち歩くことができる小型のデバイスです。 体の状態や運動量などを測定できる活動量計が代表的なIoTデバイスですが、腕に着けるリストバンド型や時計タイプの製品が多数発売されています。
代表的な製品例としては、図4に掲載したように、 Fitbit JawboneUP のようなリストバンド型の活動量計がありますが、歩数や消費カロリー、 心拍数などを測定して、データをスマートフォンで確認したり、インターネット上のクラウドサーバーでデータ分析などを行います。

スマートフォンとはBluetoothで通信を行なってデータを送り、スマートフォンがインターネット上のクラウドサーバーと通信します。 活動状態の分析結果やアドバイス等をスマートフォンで確認できるようになっています。

図4 活動量計の例(Fitbit、JawboneUP)

活動量計の例(Fitbit) 活動量計の例(Jawbone)


介護、医療サービス
家庭内での老人や病人の介護、見守りにもIoTが利用されるようになっています。 自宅の部屋の温度管理や、寝床に設置した生体センサー/モーションセンサーによる体調の変化検出や、 日常の行動をモニターするドア開閉センサーなど色々なIoTデバイスが利用されています。
得られた情報・データはインターネットを介してスマートフォン等で確認することができるので、 遠隔見守りや健康管理のような日常的な支援サービスが出来るようになっています。

介護/見守りサービスの例

  • イッツコムの「インテリジェントホーム」:
    各種センサーを利用して見守りサービスを行う(図5を参照)
  • ニフティの「 おへやプラス 」:
    室内環境データ(温度/湿度/照度)をクラウドで収集分析して老人の見守りサービスを行う

図5 イッツコムの「インテリジェントホーム」
イッツコムのホームページより)

イッツコムの「インテリジェントホーム」


IoTデバイスとWebサービスの連携
家庭内のIoTデバイスで検知した結果をホームネットワークを介してインターネット上のクラウドに送り、 内容を判断してSNSのWebサービスやメールでスマートフォンに通知するサービスが始められています。
日本国内では、ヤフーが開始したmyThingsが代表的なサービスです。 例えば、ウェアラブルデバイス(Fitbit、JawboneUP、他)や家庭内のセンサー製品( iRemocon Netatmo 、 他) などのIoTデバイスが認識した結果が、インターネット上のmyThingsクラウドに送られて、予め設定しておいたアクションを起こすことができます。
FitbitやJawboneUPの場合は、ある歩数以上歩いたら、そのアクションとしてTwitterやFacebookなどのSNSで知らせたり、 メールで通知することができます。