全録レコーダーとは
-特徴と使い方-
全録レコーダー(全自動録画レコーダー)は、複数のテレビ放送チャンネルを同時に録画し続ける機能を備えているデジタル家電機器です。 地上デジタル放送とBS/CS放送を組み合わせて最大で8チャンネル程度の放送を数日間以上録画できる製品も発売されており、 見逃してしまった放送番組を後から好きな時に自由に見直すことができ、 録画予約などの面倒な作業も必要ないので、テレビ放送の新しい視聴スタイルとして定着しつつあります。
地デジ放送やBS放送、CS放送などの複数チャンネルを同時に連続録画する「全録機能」を実現するには、以下の図1『全録レコーダーの仕組み』のように、
チャンネル分のデジタル放送チューナーと放送を録画・保存するためのHDD(ハードディスクドライブ)
が必要となりますが、どのようなデジタル機器にこれらを搭載するかによって、
全録BDレコーダー
全録HDDレコーダー
全録デジタルTV
などの製品が発売されています。
図1 全録レコーダーの仕組み
全録BDレコーダーは東芝とパナソニックから発売されており、
全録できる放送が地デジだけの製品と、地デジに加えてBS放送とCS放送も全録できる製品があります。
全録HDDレコーダーは複数のチューナーとHDDを備えた録画専用機となりますが、通常のフルセグ放送を全録できるものと、
ワンセグ放送専用のものがあります。フルセグ対応製品としては、BDレコーダーからBDドライブを省いて低価格化/小型化した製品「D-M410」
が2013年10月に東芝から発売され、現在は「D-M210」が発売されています。
全録デジタルTVについては全録機能を搭載した最初の製品として「CELL REGZA」が東芝から発売され、
その後、タイムマシン機能と呼ばれているREGZAのシリーズ製品が発売されています。
以下では、デジタル放送の全録ができる各社の製品を取り上げて、
・全録レコーダーの特徴
・全録BDレコーダーの製品例・比較
・全録HDDレコーダーの製品例・比較
・全録デジタルTVの製品例・比較
について紹介します。
全録レコーダーの特徴
全録レコーダーで同時に録画できるチャンネル数
は搭載されているデジタル放送チューナーの数によって決まり、最大で8チャンネル程度ですが、
全録専用の地デジチューナーだけを搭載している製品と、更に全録用のBS/CSチューナーも搭載している製品があります。
また、地デジ/BS/CS放送を通常どおり視聴・録画できるチューナーも別途備えている製品は最大で地デジチューナーを9台、BS/CSチューナーを2台も搭載しています。
次に、録画番組の保存 は内蔵されているHDDの他に、追加で接続できる外付けUSB-HDDも利用できるようになっています。 HDDには全録用の領域と通常録画用の領域が設けられており、通常録画領域には全録しているチャンネル以外の放送を録画したり、 全録した番組をダビングできるようになっています。
連続して録画できる時間(日数)
はHDDの記憶容量や録画モード(DRモードあるいは長時間モード)によって決まってきます。
HDDの容量が1TBの場合は、録画できる総時間は地デジで約130時間です。
長時間モードは圧縮率の違いによって高画質から低画質まで通常は5種類程度のモードがありますが、
圧縮率の高い低画質モードを選ぶと長期間の録画はできても画質は低下することになります。
また、全録するチャンネル数を減らせば連続録画できる時間(日数)を増やすことができます。
最大録画可能時間を過ぎた場合は、
古い録画番組から順に消去されて新しい録画番組で上書きされることになります。
従って、残しておきたい放送番組はHDDの通常録画領域にダビングして保存できるようになっています。
また、NAS(LAN接続HDD)や他のBDレコーダーなどにダビングできる製品もあります。
録画番組をディスクに保存する場合は、ブルーレイディスク(BD)を用いると片面1層のBDでは約10時間半の録画が可能です。
また、DVDでは約2時間となります。
<参考>ブルーレイディスクの種類について
・「BD-R」:1回だけ録画できる
・「BD-RE」:繰り返し録画できる
・「BD-ROM」:読み取り専用
録画した放送の視聴は、
機器間相互接続方式DLNA
と著作権保護方式DTCP-IPに対応した機器を使用すれば、
ホームネットワークに接続されたデジタルTVやパソコン、スマートフォン、タブレット、ゲーム機(PS3等)などでも行えます。
また、録画番組をDTCP+対応のNASにダビングしておけば、
外出先などの外部からでもパソコンやスマートフォン、タブレットなどで再生・視聴することも可能です。
全録した番組を活用できる便利な機能 が全録レコーダーにはいろいろと用意されています。 例えば、大量に保存されている過去の録画番組が捜し易い過去番組表の機能など、 各メーカーによって工夫がされているので製品を選ぶ際に参考にすると良いです。
全録BDレコーダーの製品例・比較
全録機能を備えているBDレコーダーは東芝とパナソニックから発売されています。
東芝は全録デジタルTVを先行して開発、製品化しており、BDレコーダーについても以下の表1のように各種の製品が「レグザブルーレイ」
という名称で市場投入されています。
主な全録BDレコーダーの製品例を表1に掲載しました。
4K放送は東芝もパナソニックも通常録画となっています。
表1 全録BDレコーダーの製品例
メーカー | 東芝「レグザブルーレイ」 | パナソニック「全自動ディーガ」 | ||
---|---|---|---|---|
機種名 |
DBR- 4KZ600/ 4KZ400/ 4KZ200 |
DBR- M4010/ M3010 |
DMR- 4K1002/ 4K602 |
DMR- 2K602/ 2K302/ 2K202 |
最大同時録画 | 8番組/ 8番組/ 8番組 |
7番組/ 7番組 |
8ch x 約28日/ 4xh x 約28日 |
10ch x 約28日/ 6xh x 約24日/ 6xh x 約16日 |
HDD容量 | 6TB/ 4TB/ 2TB |
4TB/ 3TB |
10TB/ 6TB |
6TB/ 3TB/ 2TB |
全録できる放送 |
地デジ/ BS/CS |
地デジ/ BS/CS |
地デジ/ BS/CS |
地デジ/ BS/CS |
4K対応 | 4K新衛星 2チューナー (通常録画) |
- | 4Kチューナー 内蔵 |
- |
スマホとの連携 | スマホdeレグザ | スマホdeレグザ | どこでも ディーガ |
どこでも ディーガ |
無線LAN | Wi-Fi 内蔵 |
Wi-Fi 内蔵 |
Wi-Fi 内蔵 |
Wi-Fi 内蔵 |
価格・口コミ | DBR-4KZ400 | DBR-M4010 | DMR-4K602 | DMR-2K602 |
機種名 |
DBR- 4KZ600/ 4KZ400/ 4KZ200 |
DBR- M4010/ M3010 |
DMR- 4K1002/ 4K602 |
DMR- 2K602/ 2K302/ 2K202 |
全録HDDレコーダーの製品例・比較
全録HDDレコーダーは、複数のデジタル放送チューナーと録画用のHDDを備えた録画専用機です。製品例を以下の表2に掲載しました。
通常のフルセグ放送を録画・保存できる製品としては、全録BDレコーダー「レグザサーバー」
を発売してきた東芝がBDレコーダーからBDドライブを省いて低価格化/小型化した製品「D-M470」を当初発売し、
現在は「D-M210」が発売されています。
また、IO DATAからはHDD/SSDレコーダーと録画テレビチューナー「REC-ON」(別売HDDをつなげばレコーダーになる)
の2種類の製品が発売されています。
なお、バッファローからも地デジを8チャンネル全録できる製品「DVR-Z8」が発売されていましたが現在は生産中止となっています。
表2 全録HDDレコーダーの製品例
メーカー | 東芝 | IO DATA | IO DATA |
---|---|---|---|
機種名 | D-M210 |
HVTR- T3HDZ1T/ T3HDZ2T |
REC-ON HVTR- BCTZ3/ BCTX3 |
全録できる放送 | 地デジ/ BS/CS |
地デジ/ BS/CS |
地デジ/ BS/CS |
チューナー | タイムシフト用 地デジ/BS/CS:3 地デジ:1 通常録画用 地デジ/BS/CS:2 |
地デジ/BS/CS:3 | 地デジ/BS/CS:3 |
同時録画 チャンネル数 |
最大6チャンネル | 3番組/ 3番組 |
3番組/ 3番組 |
最大録画日数・時間 | 約7.5日 | 圧縮モードで 約1,096時間 (1TB) |
地デジHD画質で 約1,044時間 (最大8TB) |
記憶容量 | 内蔵HDD 2TB |
外付けSSD 1TB/ 2TB |
別売り 外付けHDD/SSD 最大8TB |
LAN | 無線LAN内蔵 | 有線1000BASE | 有線1000BASE |
価格・口コミ | D-M210 | HVTR-T3HDZ2T | HVTR-BCTZ3 |
機種名 | D-M210 |
HVTR- T3HDZ1T/ T3HDZ2T |
REC-ON HVTR- BCTZ3/ BCTX3 |
全録デジタルTVの製品例・比較
デジタル放送の全録ができるデジタルTVは東芝から発売されています。録画した放送番組を過去に遡って視聴できるので、 東芝の全録機能は「タイムマシン機能」とも呼ばれています。
当初は高価格なプレミアムモデルのCELL REGZA「X2/XE2シリーズ」に全録機能が搭載されました。 その後、全録機能を搭載したハイエンドモデルが発売され、 現在では以下の表3のようにフラッグシップ機とスタンダード機が発売されています。
また、全録した放送番組の視聴を容易に行えるように次のような機能やサービスが備えられています。
- タイムシフトマシン
- おまかせ録画
- 過去番組表
- ざんまいプレイ:好みに合わせて、番組をオススメしてくれる
- シーン、出演者をすぐに表示
- 始めにジャンプ
- リモコンのボイスボタンでボイスコントロール
表3 全録デジタルTVの製品例
メーカー | REGZA フラッグシップ機 | REGZA スタンダード機 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
機種名 |
4K有機EL レグザ X9900M |
4K有機EL レグザ X9900L |
4KMini LED液晶 Z970M |
4KMini LED液晶 Z875L/ 870L |
4KMini LED液晶 Z870M |
4K液晶 レグザ Z770L |
発売時期 | 2023年 モデル |
2022年 モデル |
2023年 モデル |
2022年 モデル |
2023年 モデル |
2022年 モデル |
画面サイズ | 77V/ 65V/ 55V |
65V/ 55V |
100V/ 85V/ 75V/ 65V |
75V/ 65V/ 55V |
75V/ 65V/ 55V |
75V/ 65V/ 55V |
チューナー数 | 新4K衛星 2 地デジ 9 BS/CS 3 |
新4K衛星 2 地デジ 9 BS/CS 3 |
新4K衛星 2 地デジ 9 BS/CS 3 |
新4K衛星 2 地デジ 9 BS/CS 3 |
新4K衛星 2 地デジ 9 BS/CS 3 |
新4K衛星 2 地デジ 9 BS/CS 3 |
全録できる 放送 |
地デジ BS/CS |
地デジ BS/CS |
地デジ BS/CS |
地デジ BS/CS |
地デジ BS/CS |
地デジ BS/CS |
最大全録 チャンネル数 |
地デジ:6チャンネル | 地デジ:6チャンネル | 地デジ:6チャンネル | 地デジ:6チャンネル | 地デジ:6チャンネル | 地デジ:6チャンネル |
外付けHDDの数 | タイム シフト 2/ 通常録画 1 |
タイム シフト 2/ 通常録画 1 |
タイム シフト 2/ 通常録画 1 |
タイム シフト 2/ 通常録画 1 |
タイム シフト 2/ 通常録画 1 |
タイム シフト 2/ 通常録画 1 |
無線LAN | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 |
価格 口コミ |
55 X9900M |
55 X9900L |
65 Z970M |
55 Z870L |
55 Z870M |
55 Z770L |
機種名 |
4K有機EL レグザ X9900M |
4K有機EL レグザ X9900L |
4KMini LED液晶 Z970M |
4KMini LED液晶 Z875L/ 870L |
4KMini LED液晶 Z870M |
4K液晶 レグザ Z770L |