Meta Quest 3の使い方
-パススルー(Passthrough)動画をDLNAで視聴-
Meta Quest 3はVR(Vertual Reality)動画、VRゲーム等やMR(Mixed Reality、
複合現実)コンテンツをワイヤレスで見ることができるVRゴーグルです。
2023年10月にMeta社から新発売されましたが、高性能なPCを必要としないで、スタンドアローンで使用することができるため、
高画質な映像を手軽に視聴できるHMD(Head Mounted Display)として利用できます。
前モデルのMeta Quest 2との大きな違いについては、ディスプレイの解像度、処理能力、視野角などの向上が挙げられますが、
Meta Quest 3の大きな特徴は、「カラーパススルー機能」をMRモードで利用できることです。
Quest 2にもMRモードはありますがモノクロで低解像のため、グラフィックが美しいQuest 3の方が高い没入感を体験できます。
周囲の景色をヘッドセットのカメラで取り込み、バーチャル空間上に映像として再現することができます。
この機能を利用した多くのコンテンツが登場しており、Meta Quest 3の可能性が広がっています。
例えば、あらかじめ撮影しておいた人物や物の動画を室内等の背景と合わせて表示することができます。
特に、グリーン色などをバックにしたクロマキー動画を合成して表示できる特徴があります。
このような動画コンテンツも多く提供されるようになってきました。
また、VR動画やMRコンテンツを視聴するために、
Meta Quest 3は、内部の記憶容量が128GBの製品の他に512GBの製品も発売されています。
ゲームアプリ等を保存してプレイするには十分な容量ですが、高画質なVR動画を保存して見る場合には容量が十分とは言えません。
それは、4Kレベル以上の高画質なVR動画は容量が数GBから10数GB程度と大変大きくなるために、
これを本体に保存しようとすると保存できるVR動画の数が少なくなってしまう問題点があるからです。
このような点を解決する方法としては、以下の図1のように、大容量のVR動画ファイルをPCに保存しておいて、
Wi-Fiのホームネットワークに接続したMeta Quest 3を用いて、PCのVR動画にアクセスして再生する方法があります。
具体的には、機器間相互接続方式のDLNA
に対応するVRプレーヤーアプリをMeta Quest 3にインストールしておいて、
このアプリを利用してPC内のDLNA対応サーバーにアクセスすることで実現できます。
以下では、特にMRモードに着目して、PC内に保存してあるパススルー動画をQuest3で再生・視聴する方法について紹介していきます。
具体的な内容としては、
- Quest 3の利用例、設定方法
- Quest 3を使ってPC内のパススルー動画を視聴する。
-DeoVR Video Playerを利用- - 動画を保存するフォルダの共有設定
について紹介します。
図1 Meta Quest 3でPC内のVR動画、パススルー動画を見る
<Meta Quest 3の価格情報>
203年10月に発売されたMeta Quest 3は、本体内の記憶容量が128GBの製品と512GBの製品があります。
Meta Quest 3 (完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット 128GB)
Meta Quest 3 (完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット 512GB)
関連製品の例
Eliteストラップ
Meta Quest 3充電ドッグ
Meta Quest 3の利用例、設定方法
Meta Quest 3の主な利用例を以下に列挙してみました。
- VR動画の視聴(Quest2よりも高機能、高性能)
- VRゲーム(3次元のゲームが多数提供されています)
- MRコンテンツの利用(Meta Quest 3を装着したまま、現実の周囲の様子も見れます)
- メタバースへの対応(没入感が高く、その場に本当にいるような感覚が味わえます)
- ハンドトラッキング(コントローラーを用いずに自分の手で操作できる)
- 寝そべりモード(寝たまま映画を見たり、メタバースに入場できる)
- PCとの接続(Wi-Fiでワイヤレス接続できるだけでなく、USBケーブルでも接続できます。ゲーミングPCとの接続など)
- 他
【Meta Quest 3の設定】
まず、VR動画、パススルー動画の視聴に利用するプレーヤーアプリをMeta Quest 3にダウンロードしてインストールします。
Wi-Fiのホームネットワークを介してPCと接続するために、機器間相互接続方式のDLNAに対応するプレーヤーアプリが必要になりますが、
DLNA対応のVRプレーヤーアプリとしては、無料で利用できる「DeoVR Video Player」があります。
このアプリはVR動画の再生・視聴だけでなく、クロマキーなどのパススルー動画も再生・視聴できる特長があります。
なお、高性能のVRプレーヤーアプリとしては、有料になりますが「SKYBOX VR Video Player」があります。
しかし、このアプリは残念ながらパススルーには対応していません。
「DeoVR Video Player」を利用する手順は以下の通りです。
- Meta Quest 3を用いて、アプリストアからDeoVR Video Playerをダウンロードしてインストールする。
- Quest 3のアプリ画面に表示される「DEO VR」(DeoVR Video Player)を選ぶ。
- 起動したホーム画面で、「DLNA」を選んで利用できるPCやNAS等を表示させる。
【Meta Quest 3のアプリ画面を表示】
Meta Quest 3を起動したときのアプリ画面を図2に示しました。
この画面は下部のコンソールの右端にあるアイコン(赤〇印)を選んだときに表示されるアプリリスト画面です。
「DEO VR」(DeoVR Video Player)などの各種アプリが表示されています。
下にスクロールすると、図3が表示されますが、ここにはインストールしておいた「SKYBOX VR Video Player」アプリなどが表示されています。
図2 Quest 3の表示画面(アプリの一部を一覧表示:1/2)
図3 Quest 3の表示画面(アプリの一部を一覧表示:2/2)
【VRプレーヤーアプリ「DEO VR」を起動してPCを選択】
図2のアプリ画面から「DEO VR」を選ぶと、DeoVR Video Playerが起動して、
DEO VRのホーム画面が図4のように表示されます。
ここには、DEO VRが提供しているコンテンツが一覧表示されていますので、いずれかを選ぶとQuest 3で再生・視聴できます。
なお、一部のコンテンツは視聴する際に会員登録が必要になります。
画面下部の中央にあるフォルダアイコン(赤〇印の部分)を選ぶと、
Meta Quest 3が認識しているPCなどのDLNA対応機器、ソフトを図5のように一覧表示することができます。
図4 「DeoVR Video Player」のホーム画面
図5 左側の「DLNA」を選んだ時に表示されるDLNA対応機器、ソフトのリスト
<参考>
【DEO VRのPassthrough動画を再生・視聴するには】
図4の「DeoVR Video Player」ホーム画面で左側の「Passthrough」を選ぶと、
以下の図6のように、DEO VRが提供しているPassthrough動画が一覧表示されます。
(図6には選んだPassthroughの部分を赤〇で囲んであります)
K-POPグループのPassthrough動画などがアップされていますので、
自宅の部屋などを背景にして、各グループのパフォーマンス動画をパススルーで再生・視聴することができます。
図6 「DEO VR」のPassthrough動画集
Meta Quest 3を使ってPC内のパススルー動画を視聴する
- DeoVR Video Playerを利用 -
【PC内の共有フォルダの表示】
図5の機器リストからPC(Dell-PC)(赤〇印の部分)を選ぶと、以下の図7のように、
PC内に保存されているマルチメディアコンテンツのフォルダが表示されるので、
この中から動画フォルダ「ビデオ」(赤〇印の部分)を選びます。
図7 PC内のマルチメディアフォルダ
【動画が保存されているフォルダの表示】
図7で「ビデオ」を選び、更にその中の共有フォルダを選んでいくと、以下の図8のようにVR動画を一覧表示できます。
<注意点>
PCのフォルダを共有フォルダに設定する方法については、以下の『フォルダの共有設定』をご覧ください。
また、この時に注意する点があります。外付けのUSB-HDDはPCのUSB3.0対応端子に接続してあります。
USB2.0端子に接続した場合は、HDDは認識されませんでした。
なお、図5に表示されているNASに保存されているVRコンテンツは表示されません。
図8 共有フォルダに保存されているVR動画のリスト
【パススルー動画の再生コントロールと表示調整】
図8のVR動画リストの中から、パススルー動画を選ぶとクロマキー動画を再生・視聴することができます。
グリーン色のクロマキー動画を再生・視聴している画面の例を図9に掲載しました。
画面右上の「Passthrough」(赤〇印)を選ぶとグリーン色の背景が実際の周囲の背景に変わったVR動画として視聴できます。
左側の再生コントロール部を切り出した画面を図10に、右側のパススルー調整部を図11に掲載しました。
図10の再生コントロール部では、動画コンテンツをVR表示(SideBySideの180度)に設定したり、再生/一時停止や音量調整などができます。
下部のフォルダアイコンを選ぶと図8のVR動画リストに戻ります。
また、下部の右端にあるアイコンを選ぶとアプリを終了できます。
図11のパススルー調整部では、下記のようなクロマキーの色相や明るさ等の各種調整を行えます。
- Hue(色相)
- Saturation(彩度)
- Brightness(明るさ)
- Range(隣接する色の範囲(レンジ)を設定)
- Falloff(近くのピクセルを部分的に透過にし、辺に沿ってより滑らかなブレンドを生成)
図9 パススルー動画(グリーン色のクロマキー)の再生例
図10 パススルー動画の再生コントロール部分
図11 パススルー動画(グリーン色のクロマキー)の調整画面
動画を保存するフォルダの共有設定
Meta Quest 3で再生・視聴するVR動画、パススルー動画は、Windowsパソコンの内部HDDや外付けHDDに保存しておけば、
Wi-Fiのホームネットワークを介して利用することができます。
基本的には、動画を保存するフォルダを作成しておいて、このフォルダの共有設定をしておきます。
【フォルダの共有設定】
PC本体の「ビデオ」の中や、外付けHDDの中にフォルダを作っておいて共有設定を行っておきます。
フォルダを右クリックしてプロパティを表示(図12)して、「共有」の画面で共有設定を行います。
また、「セキュリティ」の画面ではアクセス許可を設定しておきます。
詳細については、下記のページを参照してください。
「
Meta(Oculus) Quest 2の使い方(1) -PCのVR動画をDLNAアプリでワイヤレス視聴-」
図12 フォルダの共有設定