ロケーションフリー装置「WiTV」の使い方

ロケーションフリー装置とは、家庭内のBDレコーダーやTVチューナー、映像機器などの映像出力をインターネットに送出できる映像信号に変換するアダプター装置です。
つまり、ロケーションフリー装置を家庭内に設置してBDレコーダー、TVチューナー、あるいは、CATVのセットトップボックス(STB) やビデオカメラなどを接続しておけば、テレビ放送や録画番組、動画などの映像出力をインターネットを経由して世界中のどこからでもスマートフォンやタブレット等で視聴できるようになります。 (図1を参照)

但し、このようなロケーションフリー装置に入力できる映像は著作権保護等の関係で通常はアナログ出力のコンポジット信号(黄/赤/白端子のケーブルで接続) に限られており、インターネット上にはH.246等の映像信号が送出されます(下記の注意点「デジタル放送のリモート視聴との違い」を参照)。 なお、出力端子がHDMIしか無い映像機器の場合はHDMIをコンポジット信号に変換するアダプターを介して接続することになります。

代表的なロケーションフリー装置としては、 Slingbox (スリングボックス)、 VULKANO FLOW (ボルカノフロー)、 WiTV (ワイティービー)などが発売されており、 SlingboxはHDクラスの高画質映像を出力できる特徴を持っています。
また、WiTVはワンセグクラスの映像出力となりますが、他の製品の価格(約2~3万円)に比べて非常に低価格(約2,400円前後)で入手でき、 更に、接続した機器をスマートフォン等でリモート操作できる特徴を備えているので、 スマートフォンの画面サイズで視聴するのであればコストパフォーマンスの高い利用し易い製品です。

以下では、WiTVの特徴や実際に使用する際の設定方法、注意点などについて紹介します。

図1 WiTVの使い方

WiTVの使い方


<注意点>デジタル放送のリモート視聴との違い
2014年2月に次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)がリモート視聴の要件を策定して、 チューナーを内蔵しているテレビやBDレコーダーで受信している番組や録画した番組を外部からリモート視聴できるようになりました。 また、リモート視聴に対応する機器や、スマートフォン等のモバイル機器で視聴するためのアプリも提供されるようになっています。
この方式では映像をデジタル信号のまま取り扱うので、HDクラスの高画質映像をインターネットを経由してスマートフォンやタブレットで視聴することができます。
詳細は、「デジタル放送のリモート視聴」のページをご覧ください。





WiTVの特徴

WiTVと他の機器との接続構成を図2に掲載しました。 家庭にあるTVチューナー、セットトップボックス(STB)、HDDレコーダー、ブルーレイ/DVDプレーヤーなどの映像機器とWiTVをコンポジット信号ケーブルで接続し、 ホームネットワーク内のルーターとWiTVを接続します。 なお、WiTVは有線LANの端子を備えているのでLANケーブルで接続することになります。 ルーターはインターネットに接続されているので、インターネット経由で機器の映像をスマートフォン/タブレット端末で視聴することができます。 スマートフォン等のモバイル機器を使用して家庭内で視聴するには、 Wi-Fiで接続するための無線LANルーターを用意しておく必要があります。

また、WiTVは赤外リモコンをコントロールできる機能を備えているので、WiTV本体にリモコン設定を登録しておくと、 自宅の映像機器をスマートフォンで遠隔操作できるようになります。この機能を利用すれば外出先からでもスイッチのON/OFFや予約録画ができます。

WiTVの主な用途は、外出先でテレビを観たり、録画した番組を観たりすることになりますが、 録画番組はいつでもどこでも、好きな時に好きな場所で見ることができます。
また、デジタル放送のリモート視聴と異なる大きな特徴は、コンポジット信号の映像出力がある機器であればどのような機器であっても外部から視聴できることです。
例えば、ケーブルテレビ(CATV)の専門チャンネルもどこからでも視聴できるようになります。 また、家庭のビデオカメラを接続しておけば、撮影している映像をインターネット経由で観ることも可能です。

なお、HDMI出力しか備えていない映像機器の場合は、HDMI出力をコンポジット信号に変換するアダプタ装置を利用すれば接続できます。

WiTVの画質
WiTVの映像出力は低画質、中画質、高画質の3種から選ぶことができます。これらの実際の通信速度はスマートフォン等で視聴している画面の右下に表示できます。 例えば、LTE回線で視聴する場合の通信速度(ビットレート)は低画質が384kbps、中画質が640kbps、高画質が2000kbps程度となります。

<製品の入手方法、価格>
WiTVは他のロケーションフリー装置に比べると低価格で入手できます。 例えば、アマゾンでは WiTVの価格 は約2,000~2,400円程度となっています。

図2 機器の接続構成

機器の接続構成




WiTVの接続設定とリモコン登録

ロケーションフリー装置WiTV(型番はCVS-150CS)の詳細な取扱説明書(PDF)は COSTEL社のホームページに掲載されています。
WiTVを使用するには、まず始めにホームネットワークへの接続設定と、接続した映像機器をリモート操作するための赤外リモコンの登録設定が必要になります。 ここでは、WiTVを使用する際の主な設定手順と注意点等について紹介しておきます。

WiTVの接続設定

① アプリのインストール
WiTV 接続設定を開始するためにスマートフォンに専用アプリ「WiTV」をダウンロード(無料)してインストールしておきます。 以下では、Androidスマートフォンを使用して説明を行っています。

② 設定メニューを表示
アプリを起動すると、図3のホーム画面が表示されるので、右上をタップして設定メニューの画面(図4)を表示する。

③ 接続情報を設定
図4で接続情報をタップすると図5のメニューが表示されるので、この中のデバイスIDとパスワードを設定する。

図3 WiTVのホーム画面

WiTVのホーム画面

図4 設定メニュー

設定メニュー

図5 接続情報のメニュー

接続情報のメニュー


④ デバイスIDの設定
初回起動時は図5の「デバイスID」をタップして表示される図6の画面で本体のデバイスIDを検索する。 WiTVがホームネットワークに正常に接続されていればデバイスIDが図7のように表示される。

⑤ パスワードの設定
続いて、図5に戻り「パスワード」をタップすると、図8が表示されるのでパスワード設定を行う。 現在のパスワードは初期状態では「12345678」の8桁の数値になっているので入力し、次に新しいパスワードを入力して更新する。
<注意点>
WiTVの製造年月が古いとパスワードの設定が行えない場合があります。この時はパソコンを用いてバージョンアップを行うと問題点が解消されます。 詳細は以下の『WiTVを使用する際の注意点』に記載してあるので参照してください。

図6 デバイスIDの設定

デバイスIDの設定

図7 デバイスIDの決定

デバイスIDの決定

図8 パスワードの設定

パスワードの設定


赤外リモコンの登録
WiTVを接続する機器が赤外リモコン機能を備えていれば、このリモコン機能をスマートフォンに登録できるのでリモート操作することができます。
そのためには、WiTVに同梱されている赤外リモコン発光部を接続機器の赤外光受光部近くに貼り付けておきます。
以下では、ケーブルテレビのセットトップボックス(STB)をスマートフォンでリモート操作できるように設定を行う場合について紹介しています。 以下の④のように拡張キーで登録した「CATV」を選ぶとケーブルテレビの専門チャンネルを自由に視聴することができます。

① 機器のリモコン登録
図4の画面で「リモコン設定」をタップすると図9の機器リストが表示される。家電メーカーの主な機器が事前登録されているのでメーカーと機種を選ぶ。
事前登録されていない場合は図10のように最下部にある「User Setting」を選んで赤外リモコンの登録を行う。

図9 機器のリモコン登録 

機器のリモコン登録

図10 自分でリモコン登録

自分でリモコン登録


② ユーザーセッティング
図10の「User Setting」をタップすると図11が表示されるので、各キーの設定を順に行っていく。

③ 基本キーの設定
基本キーの設定は図12のように「電源」、「メニュー」、「戻る」や各種矢印キーなどがある。

④ 拡張キーの設定
拡張キーは図12の右下の「拡張」で表示することができ、ここでは図13のように「地上」、「BS」、「CATV」などの放送種類や、録画番組の「再生」、 「一時停止」、「停止」や、録画番組の「録画一覧」と「戻る」が登録してある。拡張キーは最大で15キーまで登録できる。

図11 基本キーと拡張キーの登録

基本キーと拡張キーの登録

図12 基本キーの登録

基本キーの登録

図13 拡張キーの登録

拡張キーの登録





WiTVを使用する際の注意点

パソコンで設定
WiTVの製造年月が古いとパスワードの設定等が行えない場合があります。 このような時はパソコンを用いてパスワードの設定を行い、更にファームウェアを最新バージョンにバージョンアップする必要があります。
WiTVをパソコンで設定するには COSTEL社のホームページからプレーヤー兼設定ソフトウェアの「WiTV Windows Player」をダウンロードして使用します。 また、ファイル形式変換を行うために「ffdshow」も必要になるので最新版をダウンロードしてインストールしておきます。
「WiTV Windows Player」の画面例を図14に掲載しておきました。「パスワード変更」を選ぶとパスワードを設定できます。 また、「バージョン情報」で最新のバージョンにバージョンアップできます。

パスワードの初期化
パスワードを忘れた場合やWiTVを初期化する場合は、WiTVの底面にあるRESET用の穴に細い針金を挿してリセットします。 パスワードは初期状態の「12345678」となります。

ルーターのポート開放
家庭の外部からインターネット経由でWiTVにアクセスする場合は、ルーターの外部接続がグローバルIPアドレスになっている必要があります。 また、外部からWiTVに接続するためにパソコンを用いてルーターの管理画面でポート開放(ポートフォワーディング)の設定を行っておく場合もあります。

図14 WiTV Windows Player

WiTV Windows Player