デジタル放送のリモート視聴
デジタル放送のリモート視聴とは、家庭内のテレビ、BDレコーダー、デジタル放送チューナーなどで受信している番組や録画した番組を、 外出先などの外部でスマートフォンやタブレットを使い、インターネット経由で視聴することです。 スマートフォンなどが5G/4G回線や公衆無線LAN(Wi-Fi)などを介してインターネットに接続できれば、 BDレコーダー等が設置されている場所で受信できる放送番組を日本国内はもちろん海外からでも視聴できるようになります。 (図1を参照))
図1 デジタル放送のリモート視聴
このようなリモート視聴は、番組録画については2013年に制定されたデジタル放送の著作権保護技術「DTCP+」を利用して出来るようになっていましたが、 DTCP+対応のNAS(LAN接続HDD)に録画番組を一度ダビングしてからNASにアクセスする必要があり、更に、放送中の番組は視聴できませんでした。
しかし、2014年2月に次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)がリモート視聴の要件を策定して、 チューナーを内蔵しているテレビやBDレコーダーで受信している番組や録画した番組を外部からリモート視聴できるようになり、 リモート視聴対応機器やモバイル機器用の視聴アプリが提供されるようになりました。
同年3月にはソニーのBDレコーダー製品(2013年11月発売)がソフトウェア・アップデートされて、 国内で初めてリモート視聴できるようになりました。 更に、視聴に用いるスマートフォンやタブレット用のアプリとしては「TV SideView」がアップデートされて利用できるようになりました。 ソニーではこのリモート視聴機能を『外からどこでも視聴』と呼んでいます。
その後、リモート視聴対応の製品として、
- ピクセラ社のデジタル放送チューナー
- パナソニックのデジタルTV「VIERA」、BDレコーダー「DIGA」
- シャープのBDレコーダー「AQUOSブルーレイ」
- ソニーのネットワークHDDレコーダー「nasne」
- IO DATAの録画テレビチューナー、ハードディスクレコーダー
などが次々と発売されています。
以下では、デジタル放送のリモート視聴を利用するために、
・リモート視聴とは
・リモート視聴の対応機器とアプリ
・リモート視聴の注意点
等について紹介します。
<関連情報>
ソニーのnasneが生産中止。バッファーがnasneを発売開始
ソニーのネットワークレコーダーnasneは2019年に生産中止となりましたが、2021年にバッファローがnasneを発売し始めました。
HDDの記憶容量は2TBに倍増しています。リモート視聴用のアプリは継続して使えています。
IO DATAのテレビチューナー「テレキング」は新機種を発売(2019年)
ネットワーク経由でPC・スマホ・タブレットへテレビ番組を配信できるテレビチューナー「テレキング(GV-NTX2)」の生産が終了し、
新機種の「テレキング(GV-NTX1A )」が発売されました。
IO DATAがハードディスクレコーダーを発売
IO DATAは2018年1月に、3番組同時録画や長時間録画が可能なハードディスクレコーダー「REC-ON HVTR-T3HD」を発売。
記憶容量が1TBのモデルと2TBモデルがあります。
家庭のネットワークに接続すれば、スマホやタブレットからの録画予約や視聴のほか、スマホへの自動持ち出しも可能。
IO DATAが録画テレビチューナーを発売
IO DATAは2015年8月に、3番組同時録画のレコーダになり、更に宅外リモート視聴にも対応する録画テレビチューナー「HVTR-BCTX3」を発売。
専用の無料アプリ「テレプレ」を使うことにより、iOS/Android/Windows(ストアアプリ)の端末を使ってネットワーク越しの番組再生を実現。
BDレコーダをリモート視聴できる業界初のWindowsPC
自宅のBDレコーダーの録画番組を外出先から楽しめるリモート視聴アプリケーション「TVコネクトスイート」を搭載した、
11.6型タッチ対応ノートPCなど秋冬モデル11機種23モデルを東芝が2014年10月17日から順次発売。
nasneもリモート視聴に対応
2014年9月25日のシステムソフトウェア・アップデートにより、ソニーのネットワークHDDレコーダ「nasne(ナスネ)」がリモート視聴に対応しました。
リモート視聴の具体的な使用例などについては、
「nasneの使い方(3)-デジタル放送のリモート視聴-」
のページに掲載してあります。
<参考情報>
自宅で受信している放送を外部から視聴する方法は、ロケーションフリー機器を利用する手段があります。
代表的な機器としてはWiTV、Slingboxやガラポン等がありますが、これらは他のBDレコーダーなどで受信したデジタル放送のアナログ出力をデジタルに変換してから、
インターネット上に送出するようにしています。
WiTVの詳細については、「ロケーションフリー装置WiTVの使い方」
のページをご覧ください。
製品情報: Slingbox 350 SMSBX1H111
製品情報: ガラポン TV 四号機
リモート視聴とは
リモート視聴への取り組み
2013年6月に次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)がリモート視聴機能の実現について協議を開始。
2014年2月にNexTV-Fが『デジタル放送受信機におけるリモート視聴要件 Ver.1.0』を公開。
2014年3月に電波産業会(ARIB)がデジタル放送の運用規定を改定。
これらにより、自宅のデジタル放送チューナーで受信している番組や録画番組を、インターネットを経由してモバイル端末機器で視聴できるようになりました。
リモート視聴の利用条件
リモート視聴を行うには、例えば次のような利用条件が決められています。
家庭内のテレビやレコーダー等と、外部で利用するモバイル機器は「ペアリング」と呼ばれる設定を行っておく必要があります。
つまり、これらの機器を家庭内のホームネットワークに事前に接続しておいて、モバイル機器の専用アプリを用いてテレビやレコーダー等を登録しておきます。
この登録期間は最大で90日間であり、これを過ぎると再度ペアリングを行う必要があります。
また、ペアリングができるモバイル機器は最大で6台までであり、外部からリモート視聴できるモバイル機器は同時には1台のみとなります。
次に、リモート視聴を行うには放送チューナーの1系統を専有することになります。 従って、例えばトリプルチューナーの機器では、リモート視聴している際は同時録画できるのは2系統までとなります。
リモート視聴できる放送は、地上デジタル放送では全チャンネルが対象となります。 BS放送については有料放送は対象外となり、CS放送は対象とならない場合があります。
リモート視聴の対応機器とアプリ
ソニーのBDレコーダー
2013年11月に発売されたBDレコーダーの「BDZ-ET2100」「BDZ-ET1100」「BDZ-EW1100」「BDZ-EW510」「BDZ-E510」
など5機種が2014年3月25日にソフトウェア・アップデートされて、国内では初となるリモート視聴対応機器となりました。
但し、「BDZ-E510」は録画番組の視聴のみが可能です。
最近の製品では、BDZ-FBT6100 / BDZ-FBT4100 / BDZ-FBT2100 / BDZ-FBW2100 / BDZ-FBW1100がリモート視聴に対応しています。
また、Android用のアプリ「TV SideView」も同時にアップデートされて、リモート視聴ができるようになりました。
iOS用のアプリ「TV SideView」についても提供開始されています。
リモート視聴の画質は、宅外で視聴する場合は回線速度に応じて切り替えられます。
パナソニックのテレビとBDレコーダー
リモート視聴の対応機器は、テレビからの転送ではデジタルTVの「VIERA」が業界初となっており、
2014年モデルの「AX900/AX900F」、「AX800/AX800F」、「AX700」、「AS800」、「AS650」があります。
2015年モデルでは「CX800N/CX800」、「CX700」、「CS650/600」などが対応するようになり、
更に、最近の新製品も多くがリモート視聴に対応しています。
また、BDレコーダー「DIGA」は、2015年モデルの「DMR-DRX6000/4000/2000」、
2014年モデルの「DMR-BRZ2000/1000」、「BRW1000/500」、「BRS500」、「BXT970/870」、「BZT665」や、
2013年モデルの「BZT9600」、「BZT860/760」、「BWT660/560」、「BRT260」などがリモート視聴に対応するようになりました。
最近のディーガ製品では、「DMR-4S202」、「DMR-4S202」や、
「DMR-4T402」、「DMR-4T302」、「DMR-4T402」、「DMR-4W202」、「DMR-4W102」などがあります。
スマートフォン/タブレットのリモート視聴用アプリは「どこでもディーガ」(iOS 12.3以降Andoroid 5.1以降。無料でダウンロード)や、
VIERAでも利用できる「Panasonic Media Access」が提供されています。
「Panasonic Media Access」のダウンロードは無料であり、対応端末はiOS 7以降のiPhone/iPod touch/iPad/iPad miniです。
Android版も提供開始され、OSのバージョンはVer.4.0.3以降です。
東芝のBDレコーダー
「DBR-T560/550」、「D-M470/M430」、「DBR-Z520/500」がリモート視聴に対応するようになりました。
最近の製品では「DBR-M4010/M3010」、「DBR-T2010/T1010」、
「DBR-W2010/W1010」など多くの製品がリモート視聴に対応しています。
従来はデジオン製アプリ「DiXiM Play」を購入する必要があ りましたが、新しいアプリ「スマホdeレグザ」を使うことで、
録画番組の宅外視聴や番組持出しなどのスマホdeレグザ機能をすべて無料で使用できます。
シャープのBDレコーダー
2014年6月に発売開始したBDレコーダーのBD-T3600/T2600、BD-W2600/W1600/W560/W560SW、BD-S560が9月からリモート視聴に対応するようになりました。
最近の製品では、「4B-Dt3/DW3」、「2B-DT1/DW1/DW2」などがあります。
スマートフォン/タブレットからの視聴に用いる対応アプリは、Android端末については「AQUOSリモートプレーヤー」(有料)が利用でき、
iPad/iPhoneではデジオン社の「DiXiM Digital TV」(有料)が利用できます。
これらのアプリは外出先からの放送番組視聴と録画番組視聴が行なえるほか、ホームネットワークでの利用にも対応しており、番組の持ち出し機能も備えています。
ソニーのネットワークHDDレコーダー「nasne(ナスネ)」
nasneは2014年9月25日のシステムソフトウェア・アップデート(ver.2.50)により、リモート視聴に対応するようになりました。
また、モバイル機器用のリモート視聴アプリは、Android用の「nasne ACCESS」と「TV SideView」、
iOS用の「nasne ACCESS」が9月25日に同時にリリースされています。
現在では、「nasne ACCESS」は後継の「torne mobile」が提供されています。
最新の情報や具体的な使用例などの詳細は、
「nasneの使い方(3)-デジタル放送のリモート視聴-」
のページで紹介しているのでご覧ください。
IO DATAの録画テレビチューナー、ハードディスクレコーダー
IO DATAは2015年8月に、3番組同時録画のレコーダになり、更に宅外リモート視聴にも対応する録画テレビチューナー
「
HVTR-BCTX3
」
を発売しました。
また、2018年1月には、3番組同時録画や長時間録画が可能なハードディスクレコーダー「REC-ON HVTR-T3HD」を発売しています。
更に、テレビ番組を配信できるテレビチューナー「テレキング(GV-NTX1A )」を2019年に発売しています。
スマートフォン用のアプリは「REC-ON App」(iOS:10.3~12、Android:5.0~8.1)が提供されています。
従来のテレビ視聴アプリ「テレプレ」と、テレビ番組表アプリ「テレリモ」が1つになっており、
テレビの視聴も録画予約など全ての操作が「REC-ON App」1つで実現しています。
リモート視聴の注意点
リモート視聴できる放送は、地デジは全チャンネルが視聴可能ですが、BSとCSは一部チャンネルが視聴できない場合があります。
リモート視聴のためにデジタル放送チューナーが1系統専有されるので、その分だけ同時録画チャンネル数は減ることになります。
外部からリモート視聴するモバイル機器(クライアント機器)の通信回線は5G/4Gなどの高速データ回線が望ましいが、 1ヶ月間に利用できるデータ通信容量は通常は制限されるので、これを超えると通信速度が大きく減少してリモート視聴が難しくなります。
リモート視聴の再生画質は720p/360p/180pなどが利用できますが、高画質な720pの場合は約4.5時間で7GB程度になってしまいます。
360pでも約12時間までです。
従って、リモート視聴の使い方によってはどのような回線を利用するかが問題となります。
例えば、通信容量の制限が無いサービスを利用したり、高速な公衆無線LANの活用などを考える必要があります。
スマートフォンやタブレットでリモート視聴する場合はAndroid系やiOS系の視聴用アプリが提供されており、 BDレコーダー、nasne、デジタルTV等のリモート視聴対応機器が利用できます。