スマートリモコンの使い方
-家電製品をスマホや音声でリモート操作-
家庭内の家電製品のコントロールや使用電力のモニタ/制御などをネットワークを利用して一括管理するホームシステムとして『スマートホーム』 が注目されており、スマートハウスとも呼ばれて家電/住宅/自動車メーカーなど各種業界が積極的に推進しています。
このようなスマートホームの大事な機能の一つとして家電製品を家庭内や外部からリモート操作することが挙げられていますが、
これは家電製品をコントロールする赤外リモコンを利用すると簡易に実現できます。
具体的な方法としては、家電機器の個別の赤外リモコンをまとめて操作できる据え置き型の赤外学習リモコンを利用することです。
この赤外学習リモコンにネットワーク接続機能を搭載してホームネットワークに接続できるようにしておき、
学習したリモコン機能をスマートフォンやタブレット等のモバイル機器でリモート操作できるようにします。
家庭内にはエアコンやテレビ、レコーダ、オーディオ機器、照明器具など赤外リモコンを利用している製品が多数ありますが、 これらをまとめてコントロールする赤外学習リモコンがホームネットワークを介してスマートフォン等と連携できれば、 スマートフォンにインストールしたアプリを使ってリモート操作することが可能になるわけです。(以下の図1を参照)
このようなネットワーク接続機能を備えた据置型の学習リモコンは「スマートリモコン」と呼ばれるようになり、
各社から発売されるようになりました。
スマートリモコンは更に家庭内のセキュリティやホームオートメーションのために、
各種センサーや錠や見守り/監視カメラ等の管理・コントロールを行う機能も備えるようになっています。
また、最近のスマートリモコンは赤外光だけでなくBluetoothやZigbeeなど他の通信機能も使える製品が発売されるようになり、 これらを使ってセンサーなどのデバイスをコントロールする場合もあります。
図1 家電製品やスマートデバイスをスマートフォンでリモート操作
スマートリモコンは多くの製品が発売されるようになりましたが、
主な製品としては当初から(2015年~)発売されている、
「スマートリモコン」(ラトックシステム社)
「eRemoteシリーズ」(リンクジャパン社)
「Nature Remoシリーズ」(Nature社)
「iRemocon」(グラモ社)
や、その後関連製品とともにシステム志向で発売されてきた、
「SwitchBotハブミニ」、「SwitchBotハブ2」(SwitchBot社)
「マルチリモコン」(+Style社)
「スマートリモコン」(アイリスオーヤマ社)
などがあります。
これらの機器は図1のようにホームネットワークに接続して、
更にインターネット回線にも接続できるので、これらをコントロールするためのアプリをスマートフォンやタブレットにインストールして使用すれば、
家庭内でも外出先などの外部からでもリモート操作することができます。
また、温度、湿度、明るさなどのセンサーやBluetoothを内蔵するスマートリモコンも発売されて、 スマートホームデバイスと連携する機能を備えるようになっています。
<最新情報>スマートホーム共通規格「Matter」に対応
SwitchBotハブミニもMatter対応の新製品「SwitchBotハブミニ」を2024年1月26日に発売。
NatureがMatterに対応するスマートリモコン「Nature Remo nano」を2023年7月4日に発売。
SwitchBotがMatterに対応するスマートリモコン「SwitchBotハブ2」を2023年3月24日に新発売。
赤外リモコン、ハブ機能、温度/湿度/照度センサー、スマートボタンが一つになっている上位モデル。
赤外線送信範囲は従来モデル「SwitchBotハブミニ」の2倍になっており、家電製品のプリセット数も拡大されている。
また、4月以降に予定されているファームウェアアップデートで、新機能「IR Decoding」にも対応する。
<スマートリモコンの展開「音声による操作」>
スマートスピーカーの発売にともない、
スマートリモコンも音声によるリモート操作ができるようになりました。
当初は、Amazon EchoのAIであるAlexaに対応しているのはiRemoconやラトックシステムであり、
Google HomeのAIであるGoogle Asistantに対応しているのはNature Remoなどでしたが、
現在ではほとんどのスマートリモコンが両者やSiriにも対応できるようになっています。
以下では、代表的なスマートリモコンとして、
- Nature社のNature Remo 3、Nature Remo mini 2
- SwitchBotのハブミニ
- +Styleのマルチリモコン
- リンクジャパン社のeRemote
- ラトックシステム社のスマート家電コントローラ
- アイリスオーヤマのスマートリモコン
などの製品を取り上げて、これらの概要や特徴などについて紹介します。
- スマートリモコンで何ができるか
- スマートリモコン製品の比較
スマートリモコンで何ができるか
スマートリモコンを利用するとどのような事が出来るのかを以下に列挙しました。
- スマートフォンがリモコンになる
スマートフォンを用いて複数の家電製品やスマートホームデバイスをリモート操作できる。 - 音声でリモコン
スマートスピーカー/スマートディスプレイと連携して、音声指示によるリモート操作ができる。 - 外出先からリモコン
外出先からでもスマートフォン等でリモート操作が行える。 - センサーで自動操作
センサー(温度/湿度/照度/開閉/人感/他)と連携させると、自動でリモート操作を実行できる。 - センサーで家電を操作
センサーを内蔵している製品は単独で家電製品等を自動操作できる。 - タイマーで自動操作
タイマーを内蔵している場合はリモート動作の自動設定が行える。 - 位置情報で自動操作
スマホのGPS機能と連動すると、位置情報により自動でリモート操作を実行できる。 - 複数条件で自動操作
IFTTT (イフト:別々のアプリやサービスを連携できるWebサービス)と連携できる製品は、複雑な複数条件に対してもリモート操作が行える。 - 1つの命令で複数操作
マクロ機能を備えている場合は、連続した操作の実行を1つの命令で実行できる。(マクロ/シーン機能)
次に、注意点などを以下に記載しておきます。
- インターネットには常時接続しておく必要がある。
- メーカーのクラウドサーバーを中継して操作が行われる場合は、サーバーダウンが影響する。
- 赤外リモコンへの対応は多いが、Bluetoothに対応できる製品は少ない。
- WiFiは2.4GHz対応が多く、5GHzに対応できる製品は少ない。
- 家電製品のプリセットが十分でない製品もある。(主に、海外ブランドのスマートリモコン)
これらの他にも、アプリのデザインや見やすさや、シュートカットがあるか等も大事な要素となります。 また、温湿度センサーが付いていると、室内の状況を外出先等から確認できるので便利です。
スマートリモコン製品の比較
スマートホームデバイスを統合管理したり、
テレビ/エアコン/照明などの家電をリモート操作するスマートリモコンが多数製品化されていますが、
ここでは代表的な製品である「Nature製品i」、「SwitchBot製品」、「+Style製品」、
「リンクジャパン製品」、「ラトックシステム製品」、「アイリスオーヤマ製品」について紹介します。
これらの主な仕様、特徴を以下の表1-1、表1-2、表1-3にまとめておきました。
また、外観を図2に掲載しました。
表1-1はスマートホームの共通規格である「Matter」に対応しているスマートリモコンを掲載しました。
これらは他メーカーのMatter対応デバイスと連携することができます。例えば、AppleのHomeKitはMatterに対応しているので、
iPhoneやMacのAppleホームアプリを使ってこれらのスマートリモコンを利用できるようになります。
表1-1 スマートリモコン製品(Matter対応)の比較1
販売会社 | SwitchBot | Nature | |
---|---|---|---|
製品名 |
SwitchBot ハブ2 (Matter対応) |
SwitchBot ハブミニ (Matter対応) |
Nature Remo nano (Matter対応) |
発売時期 | 2023年3月 | 2024年1月 | 2023年7月 |
ネットワーク 機能 |
WiFi (2.4GHz) |
WiFi (2.4GHz) |
WiFi (2.4GHz) |
外部からのアクセス | 〇 | 〇 | 〇 |
内蔵センサー | 温度/湿度/照度 | 電源ケーブル に内蔵 (別売り) |
無し |
タイマー機能 | 〇 | 〇 | 〇 |
シーン/マクロ機能 | 有り | 有り | 有り |
IFTTTに対応 | 〇 | 〇 | 〇 |
スマートスピーカーへの対応 | Google Alexa Siri |
Google Alexa Siri |
Google Alexa Siri |
サイズ(mm) | 8 x 7 x 2.3 cm | 6.5 x 6.5 x 2 cm | 4.7 x 4.7 x 1.25 cm |
重量(g) | 200 g | 36 g | 13 g |
<備考> リモコンの 学習機能 |
自動学習 手動学習 |
自動学習 手動学習 |
自動学習 手動学習 ボタン学習 |
価格・口コミ | SwitchBotハブ2 | SwitchBotハブミニ | Nature Remo nano |
図2-1 SwitchBot ハブ2 |
図2-2 SwitchBot ハブミニ |
図2-3 Nature Remo nano |
表1-2 スマートリモコン製品の比較2
販売会社 | Nature | Nature | SwitchBot | +Style |
---|---|---|---|---|
製品名 | Nature Remo 3 | Nature Remo mini 2 |
SwitchBot ハブミニ |
+Style マルチリモコン |
発売時期 | 2020年8月 | 2020年12月 | 2020年10月 | 2022年7月 |
ネットワーク 機能 |
WiFi (2.4GHz) |
WiFi (2.4GHz) |
WiFi (2.4GHz) |
WiFi (2.4GHz) |
外部からのアクセス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
内蔵センサー | 温度/湿度/照度/人感 | 温度 | — (別売り) |
温度/湿度/照度 |
タイマー機能 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
専用アプリ | Nature Remo |
Nature Remo |
SwitchBot | +Style |
シーン/マクロ機能 | 有り | 有り | 有り | 有り |
IFTTT | 〇 | 〇 | 〇 | — |
スマートスピーカーへの対応 | Google Alexa Siri |
Google Alexa Siri |
Google Alexa Siri |
Google Alexa Siri |
サイズ(mm) | 70x70x18 | 58x58x16 | 65.3x63.5 x20.7 |
58.5x77 x19.8 |
重量(g) | 40 | 23 | 36 | 46.5 |
備考 | センサーが多いフラッグシップモデル/プリセット多い/関連製品は少ない | 設定が簡単なエントリーモデル/プリセット多い/関連製品は少ない | ハブになる/自社関連製品が多い/プリセット少ない | 自社関連製品が多い |
価格・口コミ | Nature Remo 3 | Nature Remo mini 2 | SwitchBotハブミニ | +Style マルチリモコン |
図2-4 Nature Remo 3 |
図2-5 Nature Remo mini 2 |
図2-6 SwitchBotハブミニ |
図2-7 +Styleマルチリモコン |
表1-3 スマートリモコン製品の比較3
販売会社 |
リンク ジャパン |
ラトック システム |
アイリス オーヤマ |
サンワ サプライ |
---|---|---|---|---|
製品名 | eRemote5 |
smalia (スマリア) |
スマート リモコン |
スマート リモコン |
発売時期 | 2021年5月 | 2022年7月 | 2021年5月 | 2021年 11月 |
ネットワーク 機能 |
WiFi (2.4GHz) |
WiFi (2.4/5GHz) |
WiFi (2.4GHz) |
WiFi (2.4GHz) |
外部からのアクセス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
内蔵センサー | 温度/湿度 | 温度/湿度/照度 | — | — |
タイマー機能 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
専用アプリ | HomeLink | スマート 家電コントローラ |
HomeLink | Sanwa Connect |
シーン機能 | 有り | 有り | 有り | 有り |
IFTTT | 〇 | 〇 | 〇 | — |
スマートスピーカーへの対応 | Google Alexa Siri |
Google Alexa Siri |
Google Alexa Siri |
Google Alexa |
サイズ(mm) | 66x66x37 | 60x60x20 | 46x46x43 | 68x68x27 |
重量(g) | 72 | 42 | 60 | 61 |
備考 | 初期から製品化/プリセットが多い/自社IoT製品と連携 | 初期から製品化/初期設定が簡単/プリセットが多い/Bluetooth搭載 | 1つのアカウントを複数台のスマホで共有できる | 複数の操作を一度のタップで行える |
価格・口コミ | eRemote5 | smalia | スマートリモコン | スマートリモコン |
図2-8 eRemote5 |
図2-9 ラトックシステムsmalia |
図2-10 アイリスオーヤマ |
図2-11 サンワサプライ |
<参考> スマートリモコンの当初の製品、発売時期
ラトックシステムのWi-Fi接続学習リモコンユニット
ラトックシステムは2014年からスマートフォンでAV機器や家電製品のリモート操作ができるWi-Fi接続学習リモコンユニットを発売し始めて、
2015年12月には「REX-WFIREX1」が発売されました。
この製品は赤外線リモコンの信号をアプリに登録することで、様々な機器をスマートフォン1台で操作できます。
家庭内だけでなく、外出先などの外部からもリモート操作することができ、リモコン本体には温度、湿度、照度のセンサーも備えています。
リンクジャパンのeRemote
2014年にIoT専門企業として創業し、国内初のWi-Fiスマートリモコン「eRemote RJ-3」を発売しました。
2016年10月にはeRemoteを小型化、低価格化した新製品「eRemote mini」が発売されました。
IRKitからNature Remoへ
IRKitはWi-Fi機能の付いたオープンソースな赤外線リモコンデバイスで、2014年1月に発売されました。
家庭のエアコンやテレビ、照明など赤外線で操作できる家電を、iPhoneやiPadなどから操作することができます。
また、IRKitは公式のリモコンアプリから操作できるほか、
IRKit iOS-SDKを使えば任意のタイミングで赤外線信号を送れるiOSアプリを簡単に作れる特徴があります。
IRkitは生産を終了しましたが、後継機となる「Nature Remo」が2017年に発売されるようになりました。