スマートホームシステムの製品動向
スマートホームとは、家庭内の生活家電製品や情報家電製品などをネットワークでつないで一括管理し、
これらをスマートフォン等でモニタ/管理/コントロールして快適なライフスタイルを実現する住まいを表しています。
このようなスマートホームのソリューション事例としては、
- エネルギーの節約システム(省エネ・システム)
- セキュリティーシステム
- ホームオートメーションシステム
- 健康&フィットネスのシステム
- エンターテイメントシステム
などが考えられていますが、これらの中で特にホームセキュリティーや
ホームオートメーション
の利便性などに着目したスマートホームシステムが注目されており製品化されてきました。
例えば、ホームセキュリティーでは、ネットワークカメラや人感センサー、
ドア開閉センサー等を利用して、子供/老人/ペットなどの見守りや家庭内の監視モニタをスマートフォンで行っています。
また、ホームオートメーションでは、エアコンや照明やAV家電機器などをスマートフォンでリモートコントロールしたり、
自動制御して快適な生活が出来るようにしています。
また、スマートスピーカー/スマートディスプレイと組み合わせて、機器やデバイスの操作を音声指示でリモート操作するようになっています。
図1 スマートホームシステムとは
米国を始めとする海外では既に様々なスマートホームシステムが、
セキュリティやホームオートメーションだけでなく省エネのためのエネルギー管理も含めて製品化されてきました。
日本国内でも次第に認識されるようになり、家電メーカーのパナソニックやCATVサービスのイッツコムなどが次のようなシステム製品を2015年頃から提供し始めました。
- パナソニックの「スマ@ホームシステム」
- イッツコムの「iTSCOM HOME」
最近では、スマートホームデバイス・機器を自社開発して、これらを連携・拡張してスマートホームシステムを構築していくようになっています。
例えば、SwitchBot、
+Style、
アイリスオーヤマ
なども参入するようになっています。
また、ソニーのMANOMA、 LIXILのライフアシスト2、 アクセルラボのSpaceCore など多くの会社がスマートホームシステムをサービスとして提供するようになってきました。
以下では、日本国内での動きを中心に、各社が発表・発売しているスマートホームシステムの事例を取り上げて、それぞれの特徴などを紹介していきます。
<関連情報>スマートホームの国際規格「Matter」
Matterは異なるメーカーのスマート家電に互換性を持たせ、安心して利用できるようにするスマートホームの共通規格です。
2021年5月11日にリリースが発表され、2022年10月4日に「Metter1.0」が正式リリースしました。
280社を超えるアメリカのIT企業が参加している無線通信規格標準化団体(Connectivity Standards Alliance)が策定しています。
ホームネットワークに関連する事項としては、WiFi6以上に対応した無線LANルーターを利用しなければならない点などがあります。
<スマートホームシステムの関連ページ>
家庭内発電/蓄電や電化製品、情報家電をコントロールして快適なライフスタイルを実現するスマートホーム/スマートハウスの概要や実例を紹介します。
「スマートホームとは」
SwitchBot製品の概要、特徴や、スマートホームデバイスを組み合わせたシステムの作り方、 使い方等を紹介しています。
「SwitchBotの使い方 -スマートホームを作る-」
スマートホームデバイスの具体的な製品例は下記のページを参照してください。
「スマートホームデバイス」
スマートホームシステムを構成するためのデバイスを使用して、マンション/アパートの1室からからでもスマートホーム化する方法を紹介しています。
詳細については「賃貸マンション/アパートの自室をスマートホームに」のページをご覧ください。
Wi-Fiなどのネットワーク機能を備えている赤外学習リモコンを利用すると、エアコン、テレビ、照明等をスマートフォンで簡単にリモートコントロールすることができます。 詳細については「家電製品をリモート操作」のページで紹介しています。
SwitchBotのスマートホームシステム
SwitchBot(スイッチボット)はスマートリモコンを中心とした多様なスマートホームデバイスを取り揃えており、
SwitchBot製品を組み合わせるとデバイス間の連携が取れた拡張性のあるスマートホームシステムを構成することができます。
主なSwitchBot製品としては、
- ミニハブ(スマートリモコン)
- ボット(物理的スイッチ)
- 温湿度計
- センサー(人感、開閉)
- ロック(スマートロック)
- 見守りカメラ、室内カメラ、屋外カメラ
- スマートプラグ(スマートコンセント)
- 照明(スマート電球、シーリングライト、テープライト)
- 家電(ロボット掃除機、加湿器、自動カーテン、ブラインドポール)
などがあります。
これらの機器はホームネットワークに接続されてスマートホームを形成し、
スマートフォン等を用いて管理・制御することができます。
そのようなスマートホームシステムの例を以下の図2に掲載しました。
図2 SwitchBotのスマートホームシステム
パナソニックのスマ@ホームシステム
スマ@ホームシステムは、スマートフォンを使用して屋内や屋外を見守れるホームネットワークシステムです。
家族の見守り、防犯だけでなく、コミュニケーション手段としても利用できます。
図3のように、無線LANなどのホームネットワークを介してホームユニットをインターネットに接続しておけば、
外出先などからスマートフォンでカメラ映像を見たり、各種センサーを利用して人の動きを知ることができます。
製品としては、
・ホームユニット
・屋外カメラ
・屋内カメラ
・開閉センサー
・人感センサー
が発売されており、これらを組み合わせたパッケージ製品や個別の製品をアマゾン等からでも購入することができます。
アマゾンで購入できる製品例:
屋内カメラキット KX-HJC200K-W
屋外カメラキット KX-HJC100K-W
ホームユニット KX-HJB1000-W
屋内カメラ KX-HJC200-W
開閉センサー(2個入り) KX-HJS100W-W
このシステムでは設置したカメラを用いてスマートフォンと双方向で会話したり、ドアの開閉や人の動きをスマートフォンに通知することができます。 ホームユニットには屋外・屋内カメラを合わせて最大4台まで、開閉センサーと人感センサーは合わせて最大50台まで接続が可能です。
図3 パナソニックの「スマ@ホームシステム」
(パナソニックのホームページより)
イッツコムの「iTSCOM HOME」
イッツコムは2015年頃から「インテリジェントホーム」のサービスを始めています。 これは外出先から家の中を自由にコントロールすることができるサービスです。 子供の帰宅確認や老人/ペットの見守りをカメラやセンサーを使って行ったり、鍵の施錠確認やエネルギーのモニタリングをしたり、 エアコンや照明をオンオフするなど自在にリモートコントロールできる特徴があります。
インテリジェントシステムは図4のように、ケーブルテレビ「イッツコム」のケーブルモデムに接続したゲートウェイ装置と各種デバイスを組み合わせることで、
家の中を自由自在にコントロールすることができるので、利用目的に合わせてデバイスを選ぶことができます。
このようなデバイスとしては図5のように、
・IPカメラ(ネットワークカメラ)
・広域モーションセンサー
・狭域モーションセンサー
・ドア/窓センサー
・家電コントローラー
・スマートロック(電子錠)
などがあります。
従って、ユーザーの使用目的に合わせてサービスを自由にカスタマイズでき、必要な複数のデバイスを組み合わせることができるのが大きな特徴です。
このインテリジェントホームは2021年6月にサービスを終了して、
新たに「iTSCOM HOME」
(図6を参照)へ移行してサービスをスタートしています。
図4 イッツコムの「インテリジェントホーム」(旧サービス)
(イッツコムのホームページより)
図5 「インテリジェントホーム」の構成機器
(イッツコムのホームページより)
図6 イッツコムの「iTSCOM HOME」(新サービス)
(イッツコムのホームページより)
その他のスマートホームシステム
スマートホームシステムは、上述したシステムの他にも多数提供されてきました。
以下では、日本国内のシステム事例を紹介します。
これらの他にも、
など多くの会社がスマートホームシステムをサービスとして提供するようになりました。
au Home
au Homeは、
KDDI、沖縄セルラーなどが2017年7月から提供し始めた家庭向けのホームIoTサービスです。
当面は光ファイバの固定回線「auひかり」の契約ユーザが対象になっています。
ドア・窓の開閉センサー、環境センサーやカメラなどのIoTデバイス「au Homeデバイス」と、スマートフォンアプリ「au Homeアプリ」からなる家庭向けサービスで、
安心をテーマにしています。
また、赤外線リモコンや電源のスマートプラグ等も追加される予定です。
Toami@Home
Toami@Homeは、
ITソリューションプロバイダのNSWが2016年4月からOEM提供を始めたスマートホームシステムです。
ユーザーのライフスタイルに合せて、人感センサー、センサー付きカメラ、漏水検知器、リモコン、サイレン、タグリーダーなど好きな機器を選ぶことができ、
色々ななラインナップが揃っています。鍵の開閉や照明のオン・オフなど拡張機能などもあります。
また、コントロール用には、スマートフォン向けのアプリが用意されています。
図7 Toami@Homeのシステム構成
(Toami@Homeのホームページより引用))
MANOMA
MANOMAは、
ソニーが行っているスマートホームシステムのサービスです。
ソニーのIoT機器とスマートフォンアプリをつないで、暮らしに安全と便利を提供するサービスです。
様々な機器を1つの「プラットホーム = アプリ」で一括管理しており、
多くの機能が用意されています。
SpaceCore
SpaceCoreは、
アクセルラボが進めているスマートホームシステムのサービスです。
スペース・コアは既に日本全国の戸建やマンション等に導入されており、
独自のプラットフォームで業界最大級と言われるIoTデバイスをつなぎ、毎日の暮らしをアップデートしています。
ホームコントロール、セキュリティ、ペット/家族見守り、エネルギーマネジメントなどのサービスが用意されています。
ライフアシスト2
ライフアシスト2は、
LIXILが始めたスマートホームサービスです。
スマホや音声で自宅の機器を操作する、
「曜日・時間」「天気」「GPS」「温度・湿度・照度」「ドア開閉」「人感」をきっかけに設備や家電を一斉操作する、
浴槽の掃除からお湯はり、暖房までをアシストする、など各種サービスが用意されています。
サーコム
SERCOMは、
ブロードバンドと無線ネットワーク機器を開発・導入しているODM専業メーカーです。
更に、IoTネットワーク製品やスマートホームネットワーク製品なども提供しています。
扱っている製品としては、ネットワークカメラやZigbeeセンサーネットワーク、ドアセンサー、人感センサーなどがあります。
図8 サーコムのスマートホームシステム製品
(サーコムホームページより引用))