Miracast(ミラキャスト)とは
- ワイヤレスHDMI -
Miracast(ミラキャスト)はWi-Fi関係の業界団体であるWi-Fi Alliance
(ワイファイ アライアンス)が策定した無線通信方式です。
スマートフォンやタブレットなどの画面をデジタルTVやディスプレイにワイヤレス(無線)で表示することができます。
有線で接続する場合はHDMIケーブル等でつなぎますが、Miracastに対応している機器どうしは無線で接続できるので、
Miracastは「ワイヤレスHDMI」とも呼ばれています。
スマートフォンの多くがMiracastをサポートするようになっていますが、そのきっかけの一つとしては、
2013年夏モデルのスマートフォンの多くが採用するようになったOSのAndroid 4.2がMiracastを標準でサポートするようになったのが挙げられます。
現在では、ワイヤレスHDMIを利用できる機会が増えてきており、
特に、スマートフォンの画面をTVやディスプレイにそのまま表示することを「ミラーリング」と呼ぶようになっています。
<参考>
ミラーリングという用語は、コンピュータやサーバのデータを他の機器に複製したり、
コンピュータの画面を複数のディスプレイに同時に表示するのに使われています。
Miracastを利用して無線で接続するには、以下の図『Miracastの使い方』のように、
Miracast規格に対応しているスマートフォン・タブレットやパソコン(一部のノートPC等)とMiracast対応のアダプター装置が必要です。
アダプター装置はHDMI出力端子を備えているのでHDMIケーブルを用いてデジタルTVやプロジェクターに接続します。
Miracastでは無線通信方式としてWi-Fi Directが利用されているので、
無線LANルーター(アクセスポイント)などの無線LAN環境が無くても機器どうしが1対1で通信できる特徴を備えています。
次に、Miracast対応のアダプター装置としては、
・IO DATA社の「WFD-HDMI」
・ネットギア社の「PTV3000」
・パナソニックの「EB-L70181」
などを始めとして各種製品が発売されるようになりました。
最近では、
- HDMIミラキャスト ドングルレシーバー
- Anycast 4Kドングルレシーバー
- EZCast
などの4K映像に対応する製品も発売されています。
また、デジタルTVの中にはMiracast機能を内蔵している製品もあります。当初はシャープのデジタルTV「スマホライフAQUOS MX1」や、
ソニーBRAVIAの一部の製品(スクリーンミラーリング機能搭載)などが対応するようになりましたが、
現在ではMiracast機能を内蔵しているデジタルTVが増えています。
以下では、Miracast(ミラキャスト)の概要を知るために、
- Miracastの特徴と使い方
- Miracast対応HDMIアダプターの製品例
- Miracast対応デジタルTV、プロジェクターの製品例
について紹介します。
Miracastの使い方
(スマートフォン・タブレット等の画面をテレビやプロジェクターに表示)
<最新情報・製品情報>
4K映像の普及に伴い、4K映像にも対応する下記のようなMiracastレシーバー製品が各種発売されるようになりました。
Miracastの製品例
j5create ワイヤレス 4K HDMI ドングルレシーバー
j5create ワイヤレス HDMI ドングルレシーバー
Anycast HDMIミラーキャスト 4K
マイクロソフト ワイヤレスディスプレイアダプター
EZcast
その他
これらはMiracast、Airplay、DLNAをサポートしており、質の高いビデオや映像を見ることができます。
パソコンでは、Windows10やWindows 8.1またはWindows RT 8.1 がプレインストールされているパソコンがMiracastに対応しています。
Wi-Fi Directは無線LANルーターが無くても無線機器どうしが1対1で直接通信できる規格であり、Wi-Fi Allianceが策定しました。 Wi-Fi Directに対応しているデジタルTVやBDレコーダーが発売されており、パソコンやスマートフォン、プリンター、デジタルカメラ、 デジタルビデオカメラなどもWi-Fi Directに対応するようになってきました。
Wi-Fi Directの特徴、使い方や製品例の詳細は、「Wi-Fi Direct(ワイファイ ダイレクト)とは」のページをご覧ください。
Miracast(ミラキャスト)の
特徴と使い方
Miracastは、Wi-Fi Allianceが策定した「Wi-Fi Direct」 という1対1の無線LAN技術を採用しているので、ホームネットワークを構成する無線LANルーター(アクセスポイント) などの無線LANの環境は必要ありません。 また、Wi-Fi Directが備えている簡易接続方式(WPS)や暗号化技術(WPA2等)が利用されており、更に、 HDMIで接続するところを無線化しているので著作権保護技術としてHDCP2.0/2.1が採用されています。
Miracastでは映像はH.264で圧縮されて伝送され、音声はLPCM/AAC/AC3が用いられているのが特徴となっています。 また、解像度は1920x1080、フレームレートは60fpsのフルHDまで対応しており、 音声出力は5.1チャンネルのサラウンドにも対応しています。
スマートフォンやタブレットを使用する際は、Miracastに標準対応するようになったOSのAndroid 4.2が必要になりますが、 Android 4.1以前の機器でもMiracastを利用できる機種があります。 また、iOS5のiPhoneやiPadもMiracast対応アダプターによっては利用できる場合があります。
パソコンについては、インテルの「WiDi」のバージョン3.5以降がMiracastに対応しているので、最新のノートPCはMiracast対応機種が増えてきています。
Miracast対応アダプターについては、当初はIO DATA、ネットギア、パナソニックから製品が発売され、その後も各社から製品が発売されていますが、 利用できるスマートフォンやタブレットが限定される場合がありますので製品毎に動作確認機種などをチェックしておく必要があります。
使い方の注意点
(1)画質について
H.264を用いたデータ圧縮により映像を伝送するため、HDMIケーブルに比べると画質が劣ります。
(2)無線での接続距離について
IEEE802.11nの無線LAN規格で通信するので、距離が離れていたり途中に障害物があると映像の乱れが生じることがあります。
(3)Wi-Fi機器との共用について
無線通信にはWi-Fi Directを利用しているので、Wi-Fiによるデータ回線は同時には使用できません。
従って、インターネット上のコンテンツなどをテレビにワイヤレス表示するには、
5G/4Gなどのモバイル通信回線や有線LANなどを用いる必要があります。
Miracast対応HDMIアダプター
の製品例
スマートフォンやタブレットの画面をデジタルTVやプロジェクターなどにワイヤレスで表示するには、
Miracastに対応しているアダプター装置をデジタルTVやプロジェクターなどにHDMIケーブルで接続して使用します。
以下では、HDMIアダプターの単体製品の例について紹介します。
Anycast
スマートフォンやタブレット (iOS および Android デバイス) をテレビ/プロジェクター/モニターにワイヤレスでスクリーンミラーリングします。
4K/1080Pに対応しているので、高画質のスマホコンテンツも大画面で楽しむことができます。
WiFiルーター等のネットワーク機器は必要ないので、簡単に利用できます。
Anycastの価格情報
EZCast Ultra
マルチOSに対応し、あらゆる機器を大画面にミラーリング投影可能。iOS、Android、Windows、Mac、Chrome Bookに対応。
Miracastに準拠しているのでWiFiルーター無しでもミラーリングが行えます。
また、WiFiルーター(2.4GHz/5GHz)に接続すればChromecastのようなキャストも行えます。
パソコンやスマートフォンの操作画面のミラーリング時の解像度は最大は1920x1080に設定されます。
EZCastアプリの「YouTube」や動画ファイル再生機能を使用することで最大3840x2160で動画を再生できます。
Google Nestと連携できるので、GoogleNestに話しかけてEZCast UltraでのYouTubeの再生や音量調節が可能です。
EZCast Ultraの価格情報
エレコム LDT-MRC03
テレビに接続することで、スマホやパソコンの映像をワイヤレスでテレビの大画面に映せます。
Wi-Fiダイレクト(Miracast)接続とアクセスポイント接続を選択できるので、用途に合わせた使い分けが出来ます。
Wi-Fiダイレクト(Miracast)接続を使えば外部ネットワークに頼らずに使えます(WiFiルーター不要)。
アクセスポイント接続を使えばWiFiルーターでインターネットに接続できるので、
スマホのデータ通信量を抑えながら大画面でストリーミング再生を楽しめます(キャスト機能)。
Android 12/11/10、Windows 11/10 に対応。iOS、iPadOS、MacOSでは利用できません。
エレコム LDT-MRC03の価格情報
(2022年7月発売)
エレコム LDT-MRC02/C
スマートフォンやタブレット、PCなどの画面をワイヤレスでテレビの大画面に映し出すことができるMiracastレシーバです。
Full HD(解像度:1920×1080、フレームレート:60fps)に対応しているので、高画質・高音質のスマホコンテンツも大画面で楽しむことができます。
エレコム LDT-MRC02/Cの価格情報
プリンストン:デジ像HDMI Miracastアダプター
デジ像HDMI Miracastアダプターはプリンストン テクノロジーから2014年6月に発売されました。
デジ像 Miracast本体をテレビのHDMIポートに接続し、USBから給電すると、
スマートフォン/タブレットでMiracastの接続をONにすればテレビ画面に映しだすことができます。
また、無線アクセスポイントとブリッジ接続することでDLNAのレンダラー(DMR)として使用できるので、
スマホやタブレット内、あるいはNASなどに保存してある動画や静止画を本製品に転送して再生することができます。
Miracast対応デジタルTV、プロジェクターの製品例
Miracast機能を内蔵しているデジタルTVやプロジェクターの主な製品例を以下に紹介します。
シャープのMiracast対応デジタルTV
シャープのデジタルTV「AQUOS」の中ではスマホライフAQUOS「LC-24MX1」がMiracast機能を内蔵しているので、
HDMIアダプターが無くてもスマートフォンやタブレットの画面を直接に表示することができます。
動作確認済みのスマートフォン等は、シャープのサイトに掲載されています。
ソニーのMiracast対応デジタルTV
ソニーのデジタルTV「BRAVIA」では、「スクリーンミラーリング」機能にMiracastが採用されていますので、
この機能を搭載している「X9200A」、「W900A」、「W802A」、「W650A」、「W600A」などの各シリーズが対応しています。
「スクリーンミラーリング」の使い方については、
ソニーのサイトを参照してください。
LGのSmartTV
LGのデジタルTV「SmartTV」はMiracast機能を内蔵しているのでスマートフォン等の画面をテレビの大画面に直接表示できます。
Miracast対応のテレビ製品は、
LGのサイトを参照してください。
Miracast対応プロジェクター
DellからMiracastに対応したポータブルプロジェクター「M900HD」が発売されています。
インテルのワイヤレスディスプレイ(WiDi)とMiracastに対応しているので、
パソコンやスマートフォン・タブレットの画面を大きく拡大して表示することができます。
WiFi-Docアプリを使用して、iPhone、iPad、Androidスマートフォン、Androidタブレットなどのモバイルデバイスと接続できます。