ホームネットワークシステム
ホームネットワーク(家庭内LAN)に通信機能を持つ機器・装置を接続したシステムである『ホームネットワークシステム』は、 どのような機器・装置を接続するかや、どのような用途に使用するかなどによって様々なタイプのシステムが作られます。
例えば、パソコンやサーバー機器やプリンタなどをホームネットワークに接続すれば、パソコンのファイルやデータを活用するコンピュータシステムやホームオフィスシステムを作れます。
また、デジタルTVやBDレコーダーなどのAV機器やスマートフォンなどを接続すれば、
テレビ放送やインターネット動画を家庭内外のどこででも、いつでも視聴できるエンターテイメントシステム、あるいはオーディオ・ビジュアルシステムを構成できます。
このようにホームネットワークを利用したシステムは色々な形態や用途が考えられますが、代表的なものを以下に列挙してみました。
- コンピュータシステム
- エンターテイメントシステム
- オーディオ・ビジュアル(AV)システム
- スマートホームシステム(全般的なデジタルホームシステム)
- ホームセキュリティシステム(見守り・監視カメラやセンサーを接続)
- ホームオートメーションシステム(家電製品を自動制御、リモートコントロール)
- スマートホームシステム(セキュリティ&オートメーション)
- スマートハウスシステム(電力の制御や省エネが主目的)
- 見守りシステム(センサーで生活状況を見守る)
- その他
これらは用途別に分類してありますが、実際にはこれらの使い方が混在した形でホームネットワークシステムが構成されることになります。 (以下の図1を参照)
以下では、ホームネットワークシステムの様々な構成例を取り上げて、特徴や製品例などを紹介していきます。
図1 ホームネットワークシステムの種類と構成機器
<最近の動向>
ホームセキュリティやホームオートメーションを目的としたホームネットワークシステムが2015年以降増えてきて製品化されるようになってきました。
システム製品例は下記のページで紹介しています。
スマートホームシステムの製品動向
代表的なシステム製品としては、
パナソニックのスマ@ホームシステム
イッツコムのインテリジェントホーム
ホームネットワークシステムの事例
ホームネットワークにどのような機器をどのような目的で接続するかによって、
ホームネットワークシステムの用途やシステム構成が変わってきます。
以下では、主なシステム事例を紹介していきます。
なお、これらのシステムは単独で用いられるよりは、通常は組み合わされて複合的に利用されています。
パソコンネットワークシステム
いろいろなタイプのパソコン(デスクトップ、ノート、タブレット、
スティック型PC)や、NAS(LAN接続HDD)、
プリンタ、スキャナなどの周辺機器をホームネットワークに接続して構成したシステムです。
パソコンの各種データ(オフィス、テキスト、メール、他)の共有や加工、編集、プリントなどを行って、
プライベートなパソコンシステムやホームオフィスとして利用されます。
ホームネットワーク内での機器間の連携は、一般的な「WORKGROUP」でファイル共有を行なっています。
また、インターネットの各種サーバーに接続して、ファイル/データのダウンロード/アップロードなどが行えます。
<関連ページ>
パソコンの使い方
コンテンツの共有設定
スティック型PCの使い方(1)-概要と設定-
Windows10のホームネットワーク
図2 パソコンネットワークシステム
(サーバーのコンテンツをクライアントが共有利用する事例)
エンターテイメントシステム(オーディオ・ビジュアルシステム)
テレビ、放送チューナー、BDレコーダー、全録レコーダー、
ネットワークレコーダー(nasne等)などのオーディオ/ビジュアル機器や、
スマートフォン/タブレットなどのモバイル機器をホームネットワークに接続して、
テレビ放送や動画・画像・音楽などのマルチメディアコンテンツを楽しむことを主な目的にしたホームネットワークシステムです。
動画/画像/音楽コンテンツはインターネット上の共有サービスや配信サービスを利用したり、
ホームネットワーク内のNASやレコーダーの保存ファイルを利用して、テレビやスマートフォン等で再生・視聴することができます。
機器やコンテンツをホームネットワークを介して共有利用するための標準規格として、
機器間相互接続方式のDLNAや著作権保護技術のDTCP-IP、
DTCP+などが利用されます。
コンテンツは4K映像やハイレゾ音声のように高品質化が進展しており、更に、VR(Virtual Reality、仮想現実)も注目されるようになっています。
<関連ページ>
デジタルTVの使い方
BDレコーダーの使い方
全録レコーダー
図3 エンターテイメントシステム
(DLNA対応デジタルTVを用いてマルチメディアコンテンツを視聴)
ホームセキュリティシステム
防犯や見守り用のネットワークカメラ(IPカメラ)や、ドア開閉センサー/人感センサー等をホームネットワークに接続して、
パソコンやスマートフォンや専用のモニタ・管理機器等でカメラ映像やセンサー情報をチェックできるホームシステムです。
カメラ映像やセンサーの情報は、家庭内だけでなく外出先などの外部からでもスマートフォンで確認することができます。
最近は、老人の介護・見守りや子供/ペットの見守りのニーズが高まっており、
スマートホームシステムのセンサーデバイスが利用されるようになっています。
<関連ページ>
ネットワークカメラ
スマートホームシステムの製品動向
スマートホームデバイス
IoTとホームネットワーク
図4 ホームセキュリティシステム
ホームオートメーションシステム
テレビやオーディオ製品などの映像・音響機器や、エアコン/照明器具/カーテンなどの生活用品をスマートフォンなどのモバイル機器でリモートコントロールしたり、
自動管理できるようにするシステムです。
これらの製品は赤外リモコンを利用するものが多いので、ホームネットワークに接続したWi-Fi対応の赤外学習リモコンが使われるようになっています。
専用のアプリを用いれば、スマートフォンだけで各製品をリモート操作することができます。
一般的にはスマートフォンの画面をタッチして操作しますが、音声でコントロールできるWi-Fi対応赤外学習リモコンもあります。
また、Wi-Fi機能を搭載したスマート家電が家電メーカー(シャープ、東芝、パナソニックなど)から発売されており、
ホームネットワークに接続して利用できます。
米国等では家全体の空調を自動管理できるNestなどのシステムが広く利用されていますが、
日本では室内のエアコンを個別にコントロールするのが現状です。
<関連ページ>
スマートホームとは
スマートホームシステムの製品動向
家電製品をスマートフォンでリモート操作
eRemoteの使い方
図5 ホームオートメーションシステム
スマートホームシステム
スマートホームとは、家庭内の生活家電製品や情報家電製品などをネットワークでつないで一括管理し、
これらをスマートフォン等でモニタ/管理/コントロールして快適なライフスタイルを実現する住まいを表しています。
このようなスマートホームのソリューション事例としては、
- エネルギーの節約システム(省エネ・システム)
- セキュリティーシステム
- ホームオートメーションシステム
- 健康&フィットネスのシステム
- エンターテイメントシステム
などが考えられていますが、これらの中で特にホームセキュリティーやホームオートメーションの利便性などに着目したスマートホームシステムが注目されており製品化されています。
また、節電による省エネホームもスマートホームの狙いの一つであり、スマートハウスとも呼ばれています。
<関連ページ>
スマートホームとは
スマートホームシステムの製品動向
スマートホームデバイス
図6 スマートホームシステム
スマートハウスシステム
省エネ、節電を主な狙いとした家全体の管理システムです。
太陽電池で発電、充電して節電を行ったり、全体を管理するHEMSという専用システムも実用化されています。
また、電気自動車の蓄電池/バッテリを家庭内でも電力源として利用するようにしています。
以下の図7にスマートハウスのコンセプト事例を掲載しました。
<関連ページ>
スマートホームとは
図7 スマートハウスシステム
HEMSを利用したスマートハウスの事例
(住友林業ホームテックのホームページより)
見守りシステム
ホームセキュリティシステムと同じような機器構成になりますが、老人の介護・見守りや子供/ペットの見守りを目的としたシステムです。
老人の介護・見守りでは、機器の電源状態(ON/OFF)やライトの点灯などを感知して使用状態のデータをクラウドで管理するシステムが製品化されています。
また、子供やペットの見守りでは、ドアセンサーや人感センサーを用いた確認や、ネットワークカメラを用いた会話などが行えます。
見守りシステムの事例としては、CATV業者のイッツコムが運用している「インテリジェントホーム」があります(図8)。
ホームゲートウェイがWi-Fiルーターとしても機能してホームネットワークを構成しています。
<関連ページ>
スマートホームとは
スマートホームシステムの製品動向
スマートホームデバイス
IoTとホームネットワーク
図8 見守りシステムの事例
イッツコムの「インテリジェントホーム」
(イッツコムのホームページより)
IoTとホームネットワークシステム
ホームネットワークにIoT(Internet of Things)デバイスが接続できると、 IoTデバイスを利用した新規なホームネットワークシステムを形成できる可能性があるので期待されています。
<関連ページ>
IoTとホームネットワーク