デジタル放送の同時多チャンネル録画
- REGZA/DIGA/PC用チューナー -
デジタル放送の複数番組を同時に録画するには、放送を受信できるデジタルチューナーをその数だけ用意し、
保存先としてハードディスクドライブ(HDD)を用意すれば、任意の番組を同時録画することができます。
この時、HDDへ同時にアクセスできる数はHDDや処理装置の性能に依存しますが、一般的なネットワーク家電機器やパソコンの場合は、
デジタル放送のレートを20Mbps程度とすると1台のHDDに4つの番組を同時に録画(あるいは、再生)することが可能です。
BDレコーダの場合は、チューナーを2~3個搭載した製品が増えてきており、
例えば、BS、CS、地上デジタルの3波に対応するデジタル放送チューナーを3個搭載して、
一つの放送チャンネルを視聴している時に2つの裏番組を同時に録画(W録)できる機種が発売されるようになってきました。
また、デジタルTVの場合は、HDDに録画できる「録画テレビ」が注目されるようになり、
デジタル放送チューナーを2個搭載してW録ができる機種が発売されるようになっています。
このような流れから、放送番組を更に多く同時録画できる製品も発売されるようになり、BDレコーダについては、
2011年2月に発売されたパナソニックの3D対応BDレコーダDIGAが、
3個の3波対応チューナーで受信した放送のほかに、追加接続した「スカパー!HD」
対応チューナーの放送を加えた4チャンネルの番組をHDDに同時録画できるようになっています。
デジタルTVについては、東芝のフラッグシップ機「CELL REGZA」
が11個のチューナーと3台のHDDを搭載して多チャンネルの同時録画を実現していましたが、
機能を限定して低価格化を行ったプレミアムモデル機「ZG2シリーズ」
が地デジ6チャンネルを約30時間タイムシフト再生できるデジタルTVとして2011年5月に発売されるようになりました
また、パソコンを使用する同時録画については、、パソコン用のデジタル放送チューナー(外付け、あるいは内蔵)
を使用すると最大8チャンネルの同時録画を行うことも可能になっています。
多くの番組を同時録画する目的としては、単に裏番組を録画しておくだけではなく、
- 必要な時間帯の番組をとりあえず取りためておき、必要なものだけを残すようにする
- 過去の放送をまとめて録画しておき、過去にさかのぼって必要な番組を見る
などが重要視されている点があげられます。
特に、過去にさかのぼって見るのはタイムシフト再生(あるいは、タイムマシン機能)と呼ばれており、
現在から過去1日分、過去1週間分の番組をいつでも好きな時に見れるようになるのでテレビの使い方が格段に広がります。
以下では、デジタル放送の同時多チャンネル録画ができる製品を取り上げて概要を紹介します。
- CELL REGZAで同時多チャンネル録画、タイムシフト再生
- REGZA「ZG2シリーズ」で同時多チャンネル録画、タイムシフト再生
- BDレコーダで同時多チャンネル録画
- パソコン用デジタル放送チューナーで同時多チャンネル録画
- 同時多チャンネル録画の専用機
CELL REGZAで同時多チャンネル録画、タイムシフト視聴
東芝のデジタルTVのフラッグシップ機であるCELL REGZA 「X2」、「XE2」は、画質・音質や録画機能、 ネットワーク機能などについて従来機種には無い高度な性能・機能を持たせていることが特徴になっています。
- 「CELLレグザエンジン」を採用し、3D放送の映像を高精細な3D映像として映し出す
「CELLレグザ3D超解像技術」 - 2D映像から奥行きを高精度に推定し3D映像を生成する「CELLレグザ2D3D変換」
- 動画応答性を改善する4倍速240Hz液晶パネルを採用し、フレーム補間技術
「ハイスピードクリア4倍速」を搭載 - 3TBのハードディスクを内蔵しており、そのうち2TB分の領域に地上デジタル放送
8チャンネル分を同時に録画できる「タイムシフトマシン2」機能
特に録画機能については、多数のデジタル放送を同時録画できるタイムシフトマシンとして、 新しい視聴スタイルを提案するテレビという位置付けを打ち出し、他社のデジタルTVに対する大きな差別化を図っています。 なお、旧製品の「X1」は3Dには対応していませんが、タイムシフト機能は搭載しています。
同時多チャンネル録画の概要
BS・CS・地デジの3波に対応するチューナーを2個と地上デジタル放送専用チューナーを9個の計11個のチューナーと、
1TBのHDDを3台内蔵しており、BS・CS・地デジのいずれかを内蔵HDDや外付けのUSB-HDDにW録しながら、
任意の地デジ放送を視聴することができ、更に、最大8チャンネルの地デジ放送も同時に内蔵HDDに自動で録画することができます。
この最大8チャンネルの地デジ同時録画は、2TB(1TBが2台)の内蔵HDDを使用して、約26時間分の番組を保存しておくことが可能です。
この時、録画はMPEG2-TSで行われるため、レートを約20MbpsとするとHDDへの同時アクセスは4本のストリームの書き込み
(あるいは読み出し)が上限となるので、1つのHDDに4チャンネルづつ録画されます。
録画できる容量が無くなってくると、古い録画部分が消去されるようになっており、常に最新の放送を保存し続けることが可能になっています。
従って、その時間内の放送であれば、いつでも好きな時間にさかのぼって視聴することができるので、
タイムシフトマシンあるいはタイムマシン視聴などと呼ばれています。
このタイムシフトの録画は、録画するチャンネル数、曜日、時間帯などを指定できるので、例えば、ゴールデンタイムの3時間に設定すると、
1週間分以上の録画ができ、週末にまとめてチェックするなどの使い方も可能です。
更に、タイムシフトの録画番組は、残りの1TBの内蔵HDDや外付けのUSB-HDDに移動(ムーブ)して保存できるので、
必要な番組だけ残しておくことができます。
録画番組の表示機能と検索機能
タイムシフト録画や通常録画した番組を表示する機能や検索機能も工夫されており、下記のような特徴があります。
- 録画番組を40分割してサムネイル表示する
- 中央に表示された番組と関連性の高い番組を周囲に表示する
- 既存の番組表と同様な表示方法で録画済番組表を表示する
- 録画リストの表示画面では、選択した番組の動画プレビューが表示される
- 定期的に現在の番組表情報や録画した番組情報を検索してデータベース化する
- このデータベースをもとに検索ナビが行える
CELL REGZAシリーズの価格、口コミ情報
55X2 3D対応
、
55XE2 3D対応
、
46XE2 3D対応
、
55X1
REGZA「ZG2」で同時多チャンネル録画、タイムシフト再生
東芝のデジタルTVのプレミアムモデル機であるZG2シリーズは、
55V型、47V型、42V型の画面サイズの製品が2011年5月に発売されました。
高度な演算処理能力を持つ「レグザエンジンCEVO Duo」を搭載し、高精細な3D映像も実現していますが、
特徴的なのはCELL REGZAと同様なタイムシフト再生に対応していることです。
ZG2の場合はCELL REGZAに比べて機能が制限されていますが、内蔵HDDの1.5TBを使用して、
これに地上デジタル放送を最大6チャンネル・約30時間だけ同時に録画することができますので、
放送を丸1日分さかのぼって、見たい番組を自由に視聴することができます。
チャンネル数や曜日、時間帯などは細かく設定することができるため、例えば時間帯をゴールデンタイムの4時間だけに設定すると、
6つのチャンネルを約1週間分録画しておくことができます。
また、チャンネル数を半分にすれば録画時間帯あるいは録画日数を2倍にすることも可能です。
タイムシフト用に録画した番組は、内蔵の通常録画用HDDや外付けのUSB-HDDにムーブして保存することもできます。
BDレコーダで多チャンネル録画
デジタル放送を4番組同時に録画できるBDレコーダは2011年2月にパナソニックから発売され、
3Dに対応しておりディーガ最高峰の高画質・高音質技術に加えて、内部に3波対応のデジタル放送チューナーを3個搭載しています。
そして、「スカパー!HD」対応のチューナーを接続すると、内蔵チューナーと合わせて最大4番組を同時に録画できるようになっています。
4番組同時録画のDIGAシリーズは下記の4機種が発売されており、各々は搭載しているハードディスクの容量が異なっています。
DMR-BZT900(HDDの容量3TB)
DMR-BZT800(HDDの容量2TB)
DMR-BZT700(HDDの容量1TB)
DMR-BZT600(HDDの容量500GB)
4番組同時録画は番組全てをHDDに録画するか、3番組をHDDに1番組をづルーレイディスクに録画(DRモードのみ)する組み合わせになります。
但し、「スカパー!HD」録画については、HDDへの録画のみとなります。
また、長時間録画にも対応しており、内蔵チューナーを使用した録画の場合は、2番組を長時間モード(最大15倍)で録画でき、
3番組目は一時的にDRモードで録画して、電源オフ中に事前設定した録画モードに自動で変換されます。
これは、長時間録画モードに変換するMPEG4/AVCエンコーダが2系統だけしか搭載されていないことに起因しています。
録画時の機能としては、3番組を同時録画しながら以下のような各種の同時操作ができるマルチタスク機能を備えています。 1台のHDDへは同時に4アクセスできるので、1~4番目までの機能が実現できるようになっています。
- 追っかけ再生が行える。
- HDDに録画してある番組の再生が行える。
- 内蔵チューナーで同時録画中に、BDに高速ダビングが行える。
- 内蔵チューナーで同時録画中に、BDに長時間モードでダビングが行える。
- ブルーレイディスク(BD)の再生が行える。
- 持ち出し用の番組も同時に作成される。
- 同時録画しながら「スカパー!HD」を含む全ての録画番組のチャプターを自動設定。
次に、ネットワーク機能については下記のような特徴があります。
- 放送中番組もほぼリアルタイムでホームネットワークを介して他機器で再生可能。
- VIERAで録画した番組をホームネットワークを介して本製品にダビングできる。
なお、東芝のREGZAからは、DIGAのHDDへのダビングはできません。
その他の機能としては、次のような特徴があります。
- BD-R/REからHDDへのムーブ(書き戻し)
- 「2D→3D変換」機能をBDレコーダで初めて搭載
- 好みに合わせて3Dが楽しめる「3D奥行きコントローラー」を搭載
- BDレコーダとしては初めて「スカイプ」に対応
- BZT600以外は無線LANを内蔵
DMR-BZTシリーズの口コミ、価格情報
DMR-BZT900
、
DMR-BZT800
、
DMR-BZT700
、
DMR-BZT600
パソコン用デジタル放送チューナーで多チャンネル録画
パソコン用のデジタル放送チューナーは、USBケーブルで接続する外付けタイプとPCIで接続する内蔵タイプがあり、
IO DATA、Buffalo、ピクセラなどからシングルチューナー製品やダブルチューナー製品が発売されています。
ダブルチューナー製品は同時に2番組を録画(W録)することができます。
その中で、IO DATAから発売されているPC用デジタル放送チューナーの場合は、
複数台を組み合わせることにより最大8チャンネルの番組をパソコンのHDDに同時録画することができ、
ダブルチューナー製品を使用すれば最少の4台で8チャンネルの録画ができます。
多チャンネル録画に対応しているIO DATAのPC用デジタル放送チューナーでBS・
CS・地デジの3波に対応し製品例としては、
GV-MVP/XZ(USB接続タイプ。シングルチューナー)
GV-MVP/XS(PCI Express接続タイプ。シングルチューナー)
GV-MVP/XSW(PCI Express接続タイプ。ダブルチューナー)
があります。
必要となるチューナーの台数は、同時録画を行うチャンネルと同じ数になりますので、
パソコン本体にPCIで接続する内蔵タイプか、USBで外付けするタイプを組み合わせて用意することになります。
これらの製品は、MPEG4/AVC(H.264)による長時間録画にも対応しており、フルハイビジョンで最大15倍録画を行った場合、
8チャンネル同時録画を1週間行った時に必要となるHDDの容量は約1TBで済みます。
長時間録画用のエンコーダは内蔵されているため、パソコンのCPUへの負担が少なくてすむ特徴があります。
また、次のような機能も持っています。
- BD、DVDへの書き出し(エクスポート)が行える
- 各種の編集が行え、フレーム単位の編集も可能
- 録画した番組はホームネットワークを介して他のクライアント機器で視聴できる
- HDDに録画した番組は、ホームネットワークを介してDLNA・DTCP-IP対応のNASに
ダビングできる - iVDRアダプター「RHDM-US/EX」を使ってカセットHDD「iVDR-S」にダビングできる
各種機能を実現するための専用ソフトとしては、以下のようなものが用意されています。
- 放送をリアルタイム視聴するための「mAgic TV Digital」
- 録画予約や録画番組を再生するための「mAgic ガイド Digital」
- サーバ配信を行うための「DiXiM Media Server 3 for mAgic TV」
- 録画番組を編集、保存するための「Direct Disc Recorder for mAgic TV Digital」
IO DATAのPC用デジタル放送チューナーの価格、口コミ情報
GV-MVP/XZ
、
GV-MVP/XS
、
IGV-MVP/XSW
多チャンネル同時録画の専用機
デジタル放送の多チャンネル同時録画を行う専用のハードディスクレコーダはPTP社から
「SPIDER PRO」
という製品名で発売されています。
法人向けのため価格設定は高くなっていますが、8チャンネルの番組を1週間分同時に録画することができます。
長期間の録画が行えるように圧縮機能を備えており、録画するデジタル放送のレートを3Mbpsに設定した場合、
8チャンネルの番組を約7.3日間録画することができるようになっています。HDDの記憶容量が足りなくなってきたら、
古い録画映像から自動的に上書きしていくので、常に最新の1週間分を保存しておくことができます。
録画番組を読みだす時は、キーワード検索で必要なシーン等を見つけられるようになっています。
一般家庭向けについては、
2011年の年末に地デジ対応製品を発売する予定とアナウンスされています。