デジタルホーム構築へ向けて

デジタルホームとは、デジタル家電やパソコン/周辺機器、モバイル機器、 ゲーム機等のデジタル機器をホームネットワーク(家庭内LAN)に接続して構成したホームシステムです。 (LAN:Local Area Network)
ネットワーク機能を持っているデジタル機器をホームネットワークに接続して互いに通信できるようにすると、 放送・動画(ビデオ)・静止画(写真)・音楽などのマルチメディアコンテンツやインターネット上のコンテンツ・情報を各機器が共有利用できるようになり、 大画面のテレビで視聴したり、スマートフォンやタブレットで視聴できるので、家庭で簡単に楽しんだり活用することができます。 また、インターネットを経由して外出先などの外部でも利用することができます。

また、ホームネットワークに接続できる生活家電製品が増えてきておりスマート家電やIoT(Internet of Things)機器とも呼ばれています。 これらはスマートフォンでリモート操作したり、インターネット情報と連携できるようになっています。
更に、音声認識AI(人工知能)を利用するスマートスピーカーが発売されるようになり、 音声だけでマルチメディアコンテンツや家電製品をリモート操作できるようになりました。

このように、デジタルホームはエンターテイメントだけでなく生活情報や社会情報も取り込んだスマートホームへと進展し、 更に、AIを利用するインテリジェント化が進んでいます。
以下では、デジタルホームの構築に関連する話題として、

  • マルチメディアコンテンツの問題点
  • マルチメディアコンテンツをテレビで活用できると!
  • テレビでマルチメディアコンテンツを視聴・活用する方法
  • ホームネットワーク(家庭内LAN)の役割
  • スマートホームとは

について紹介します。

デジタルホームの進展

<スマートホームへの展開>
デジタル家電をスマートフォン等でコントロールして、デジタルホームを賢く便利に使い易くする「スマートホーム」への取り組みが広く普及するようになっています。
スマートホームの詳細については、「スマートホームとは」のページを参照してください。

<スマートホームシステムの製品化>
ホームオートメーションやホームセキュリティなどを実現するスマートホームシステムの製品化が2015年頃から進められるようになっています。
参考ページ:「スマートホームシステムの製品動向
参考ページ:「スマートホームデバイス

<IoTへの対応>
IoT(Internet of Things)は様々な機器やデバイスがインターネットに接続されて、情報/データの共有や連携を行うようになるものです。 家庭内ではデジタル家電やスマート家電の他にも、セキュリティ機器やセンサー機器がホームネットワークを介してインターネットに接続されるようになります。 従って、デジタルホームにもこれらが含まれるようになってきています。
参考ページ:「IoTとホームネットワーク




マルチメディアコンテンツの問題点

放送、動画(ビデオ)、静止画(写真)、音楽などのマルチメディアコンテンツは、

  • TV放送をデジタルTVやBD/DVD/HDDレコーダで録画したまま
  • インターネットでダウンロードしてパソコンの中に保存したまま
  • スマートフォンやビデオカメラ、デジタルカメラで撮影したまま
  • メモリやディスク媒体、テープなどに録画・録音したまま

など、整理されずに散逸していることが多いようです。
また、そのようなコンテンツを視聴する時は、

  • 各種機器をTVに接続・配線してセッティングしてから視聴しなければならない
  • 各種機器を個別に操作しなければならない
  • パソコンや関連機器のスイッチを入れて立ち上がるまで待たなければならない
  • どの機器にどのようなコンテンツが保存されているか分からなくなっており、分類・整理が必要

など、面倒な作業が多いため、コンテンツを利用する機会が少なくなってしまいます。
また、リビングで見ていた録画番組や動画などを他の部屋でも見たいけど出来ないなど不便な点もあります。
もっと簡単にすぐに視聴できれば、いろいろな情報を自在に活用して楽しむことができるようになりますが、 どのようにすればよいのでしょうか。

更に、家庭内にはエンターテイメントだけでなく、生活に必要な各種情報も存在しています。 これらの物理的情報サイズはエンターテイメント情報に比べると小さいので、これらもまとめて収集してテレビやスマートフォンなどに表示して、 一括管理やコントロール操作ができれば、より快適なスマートライフを送れるようになるでしょう。

家庭のテレビは高画質化、大型化、薄型化、インターネットサービスへの対応など、年々変化をしています。 また、放送を見るだけのテレビから、情報を見れるテレビへと変化をしています。 このような家庭のテレビを、デジタル家電、スマート家電、パソコン、モバイル機器、周辺機器、情報機器、等々と連携させ、 インターネットとも連携させて、マルチメディアコンテンツや各種情報を活用する「情報の窓」として利用できれば、 更に、家庭のデジタルライフが変わっていきますが、どのようにすればよいのでしょうか。

マルチメディアコンテンツの保存・視聴

マルチメディアコンテンツの保存・視聴






デジタルホームの中心機器はデジタルTV

パソコン・周辺機器や、BD/DVD/HDDレコーダ、ビデオカメラ、デジタルカメラなどのデジタル家電や、 スマートフォン・タブレット等のモバイル機器などに入っているマルチメディアコンテンツをリビングや各部屋のテレビでまとめて利用できると便利です。 つまり、いろいろな機器をホームネットワーク(家庭内LAN) を介して離れた場所のテレビと連携させて、 各機器に入っている動画や静止画や音楽などをテレビ画面を見ながらリモコンで選択して自在に視聴できれば、 面倒無く、簡単に、いつでも気軽に各種コンテンツを利用できるようになります。

TVの利用例

(1)スマホの画面をTVで見る
現在の生活ではスマートフォンが必須のツールとなっており、様々なコンテンツをスマートフォンで見るようになっています。 このスマートフォンの小さな画面をテレビの大画面で見ることができれば大変便利です。 特に、他の人たちと共有して見ることができるようになります。
<参考>
AnyCast(エニーキャスト)の使い方(1)-スマホの画面を大画面TVで視聴-

(2)PCやNASのコンテンツをTVで見る
インターネット上には様々なコンテンツがあります。好みのものをダウンロードし、 パソコンやNAS(LAN接続HDD)などに保存してテレビで再生したり、動画コンテンツを直接にテレビでストリーム再生できれば、 テレビの活用範囲が広がります。
録画したテレビ放送番組やBD・DVD・CD等のディスクコンテンツはNAS(LAN接続HDD)にまとめて保存しておけば、 異なる部屋にテレビが何台か置いてあっても各々のテレビで保存コンテンツを視聴できるようになります。

(3)スマートホームのコントロール画面をTVで見る
スマートホームのコントロールデバイスであるスマートリモコンと連携できるHDMIデバイスが発売されています。
Amazon Fire TV Stickは、AmazonのAIアシスタント「Alexa」に対応しているスマートリモコンと連携できるので、 TVの画面上にスマートホームデバイスを一覧表示して(スマートホームダッシュボード)、 各デバイスをリモートコントロールすることができます。
<参考>
Fire TV Stick 4K MAXの使い方

(4)動画配信サービスをTVで見る
Netflix、Hulu、Amazon Prime Videoなどの動画配信サービスのコンテンツを視聴できるデジタルTVが発売されるようになっています。 ホームネットワークにTVを接続しておけば、これらの配信コンテンツを大画面のTVで視聴することができます。
このような機能を備えていないTVの場合は、Amazon Fire TV StickのようなHDMIデバイスをTVに接続しておけば視聴が可能です。
<参考>
定額動画配信サービス

(5)ホームシアターへの利用
オーディオ機器をホームネットワーク(家庭内LAN)に接続できれば、高品質な音楽も同時に聞くことができます。 例えば、パソコンやホームサーバ(NASなど)に保存した好みの静止画(写真) を大画面デジタルテレビにスライドショーで表示しながら、同時にステレオ音楽・ サラウンド音楽を聴くことができるようになります。

(6)ネットワークカメラ(防犯カメラ、見守りカメラ等)の映像をTVで見る
保存されたコンテンツだけでなく、ネットワークカメラを利用すると、家の内外の様子をテレビでモニターしたり、 他の家庭とTVでコミュニケーションすることも可能になります。 また、モバイル機器(スマートフォン/タブレット)を使って外部から家の内外をモニターしたり、 TV電話のようにコミュニケーションすることも可能になります。

(7)スライドショーの映像をTVで見る
テレビで視聴している映像の中から好みの画面を取り出した静止画像や、 フィルムカメラで撮影した古い写真や、ビデオカメラで撮影した古いビデオテープなどが溜まっている場合は、 これらをデジタル化しておけば、いつでも簡単に大画面のテレビで見れるようになります。

コンテンツや情報をTVで視聴

コンテンツや情報をTVで視聴




テレビでマルチメディアコンテンツを視聴・活用する方法

ホームネットワーク(家庭内LAN)を利用して、パソコンやNAS(LAN対応HDD)、 デジタル家電などに保存されているマルチメディアコンテンツをテレビで視聴するには、 次のような方法があります。(下図参照)

(1)メディアプレーヤを内蔵したネットワーク対応デジタルTVを使用する。
(2)ネットワークメディアプレーヤー(TVアダプタ)をTVに接続する

最近のデジタルTVはほとんどが機器間相互接続方式のDLNAに対応したメディアプレーヤー機能を備えています。 従って、同じようにDLNAに対応している機器(パソコン、NAS、デジタル家電など) のコンテンツをホームネットワークを介して再生・視聴することができます。

しかし、デジタルTVがDLNAに対応していない場合やアナログTVを利用する時は下記のようなネットワークメディアプレーヤーが利用できます。
ネットワークメディアプレーヤは、ホームネットワーク(家庭内LAN)に接続されたパソコン、 NASやBD/DVD/HDDレコーダー、デジタルカメラなどに保存されたコンテンツを自由に選んで、 リビングルームや他の部屋のテレビ(デジタル/アナログ)で視聴することができるアダプタ装置です。 また、ホームネットワークを介してインターネットに直接アクセスすることもでき、 映像サービスプロバイダ(例:定額動画配信サービスなど) やインターネットラジオなどのコンテンツを利用することもできます。

ネットワークメディアプレーヤとTVとの接続は、HDMI、D端子、S端子、コンポジット端子など各種の接続方式で行えますので、 デジタルTVだけでなくモニターテレビを使用してデジタルコンテンツを視聴することができます。
また、デジタル放送チューナー付きのネットワークメディアプレーヤーも発売されています。
ネットワークメディアプレーヤー製品の具体例はマルチメディア機器のページをご覧ください。

次に、ネットワークメディアプレーヤは、機器やコンテンツとの連携方式(相互接続方式)によって、
 ・DLNA(Digital Living Network Alliance)対応製品
 ・WMC(Windows Media Connect)対応製品
 ・MCX(Media Center Extender)対応製品
などがあります。なお、これらの複数に対応している製品もあります。
最近はDLNAが主流になっており、ホームネットワーク対応機器は多くの製品がDLNAに対応するようになっています。 従って、機器同志がお互いを認識して、コンテンツを利用(視聴)できます。

DLNAに対応している代表的なネットワークメディアプレーヤー製品はBuffaloやIO DATAから発売されていましたが、 最近はTVのHDMI端子に挿すHDMIデバイス(Amazon Fire TV StickやGoogle Chromecast with Google TVなど)が普及してきました。 利用する場合はDLNA対応アプリをインストールして用いることになります。
<参考>
Fire TV Stick 4K MAXの使い方

また、ゲーム機のPS5/PS4/PS3もDLNAに対応しており、Xbox One/Xbox360もDLNAにも対応するようになりました。

なお、DLNAなどの機器間相互接続の方式を使用しないで、独自のソフトウェアを用いることにより、 PC等に保存されたコンテンツをTVで視聴することができるネットワークメディアプレーヤー製品もあります。 (例えば、Apple TV など)
また、DLNAが採用している機器間連携技術のUPnP AV等を利用したネットワークメディアプレーヤーもあり、 DLNA対応のように利用することができます。 具体例は、「ネットワークメディアプレーヤーの使い方」のページをご覧ください。

<注>
ネットワークメディアプレーヤは、デジタルメディアアダプタ(DMA)とも呼ばれています。

TVでコンテンツや情報を視聴

TVでコンテンツや情報を視聴


スティック型の超小型メディアプレーヤー
テレビのHDMI端子に接続して使用する超小型のスティック型デバイスが発売されるようになっています。 Android OSを搭載した機器やWindows OSを搭載したスティック型PCなどがありますが、 DLNAに対応するアプリやソフトウェアをインストールすれば、 これらの機器をネットワークメディアプレーヤーとしても利用できます。 詳細については以下のページをご覧ください。




ホームネットワーク(家庭内LAN)の役割

ホームネットワーク(家庭内LAN)は、ルータやHUB(ハブ)などのLAN装置(ホームネットワーク構成機器)を用いて、 離れた場所に置いてある機器と機器の間をケーブルで接続したり(有線LAN)、 無線電波で接続する(無線LAN)などの方法により、構成することができます。 詳細は、
ホームネットワーク(家庭内LAN)入門
を参照してください。

ホームネットワークは、複数のパソコン(PC)を接続して、PC間でファイルを共有するのに使われたり、 プリンタを複数のPCで共有したり、複数のPCを同時にインターネットに接続するために利用されてきましたが、 最近ではデジタル家電やスマートホームデバイス、モバイル機器などを接続して幅広く利用されるようになっています。

その一例が、ホームネットワーク(家庭内LAN)を利用したデジタルホームの構築であり、 代表的なアプリケーションがマルチメディアコンテンツの活用です。すなわち、 PCやNAS(LAN接続HDD)だけでなく、BD/DVD/HDDレコーダやデジタルカメラ(デジカメ) などのデジタル家電や、スマートフォン等のモバイル機器などをホームネットワーク(家庭内LAN)に接続し、更に、 離れた部屋に置いてあるデジタルTVやネットワークメディアプレーヤーをホームネットワーク(家庭内LAN)に接続すれば、 PC、NAS、BD/DVD/HDDレコーダ、デジカメ等々のコンテンツサーバ機器に入っているマルチメディアコンテンツを、 各部屋に置いてあるTVやPCなどを用いて自在に簡単に視聴・活用できるようになります。
特に、無線LANを利用すればノートPCやスマートフォン/タブレットを好きな場所で使用することも可能です。

また、各機器が機器間接続方式DLNAに対応していると、 テレビやパソコン、スマートフォン/タブレット等のクライアント機器を用いて全てのコンテンツサーバ機器のマルチメディアコンテンツをまとめて一覧表示するすることができます。 例えば、TVやパソコンの表示画面から動画(Video)を選ぶと、 ホームネットワークに接続されている全てのDLNA対応機器に保存されている動画のフォルダやファイルを画面に一覧表示することができ、 機器のメーカー・種類や設置場所を問わずにコンテンツを再生できるようになります。
機器がデジタル放送の著作権保護方式DTCI-IPに対応していれば、ホームネットワークを介して放送番組を扱うこともできます。

更に、ホームネットワークを利用するメリットとしては、コンテンツを同時に再生できる点も挙げられます。 以下の図に示しましたように、コンテンツが保存されているサーバ機器に対して、 異なる複数の機器が同時にアクセスすることも可能であり、 保存されているコンテンツを同時に再生することもできるようになります。

最近では、スマートホーム化が進んでいますが、このような同時アクセス性により、 例えば複数の見守りカメラを同時に見ながらセンサー情報を表示するなど、家庭内で多くのデバイスが利用できるようになっています。

同じコンテンツの同時再生

同じコンテンツの同時再生


異なる機器のコンテンツの再生

異なる機器のコンテンツの再生




デジタルホームはスマートホームへ進展

2011年1月に米国ラスベガスでで開催された世界最大の家電ショー「International CES(Consumer Electronics Show)」で、 「スマートTV」という考え方が提示され注目されるようになりました。
これは、放送を見るだけのテレビではなくて、各種情報をスマートに(賢く)利用できるテレビへのステップアップを意図しています。 つまり、デジタルTVをインターネットに接続して、インターネット上のクラウドサービス(映像の共有、検索や、 ショッピング情報、その他サービス等)を大画面のデジタルTVで利用しようとするものです。 更に、スマートフォンやタブレット等のモバイル機器との連携も含まれています。
このようなスマートTVを導入した家庭、環境をスマートホームという言葉で表現するようになり、 2012年1月のCESではこの方向性が日韓メーカーから強くアピールされるようになりました。

一方、スマートホームの考え方として、デジタルAV家電機器だけでなく家庭の照明、空調、各種センサー、 一般家電機器などの情報も取り込んで、節電や省エネ、 生活環境の向上まで含めた快適なライフスタイルを実現しようとする方向性もあります。
日本国内では2011年秋に開催されたCEATECでパナソニックや東芝等を始めとする家電メーカーや住宅関連企業が、 スマートホームあるいはスマートハウスとして展示・紹介を行なっており注目されるようになりましたが、 最近では幅広く普及するようになっています。

ホームネットワークを利用したデジタルホームの代表的なアプリケーションの一つがマルチメディアコンテンツの活用であると 『ホームネットワークの役割』で紹介しましたが、アプリケーションとしては上記のような家庭の生活環境情報の収集・ 管理・コントロール・操作等もあります。

スマートホームの詳細については、「スマートホームとは」のページを参照してください。

また、最新のスマートホームシステムのシステム製品例については、 「スマートホームシステムの製品動向」のページをご覧ください。