スマートテレビ(Smart TV)とは
- 特徴・使い方と動向・展開 -
スマートテレビ(Smart TV)はパソコンの便利機能がテレビと融合した新しい方向性のテレビとして、
パソコンと携帯電話が融合したスマートフォンと同様に今後の展開が期待されて登場しました。
テレビのデジタル化に伴いインターネット上の映像コンテンツを視聴できるインターネットTVが登場しましたが、
2011年1月にラスベガスで開催された世界最大の家電ショー「International CES(Consumer Electronics Show)」で、
サムスン電子やLG電子が新しい使い方のテレビとしてスマートテレビを大きく取り上げ、
他のメーカーも同様の方向性を示すなどして特に注目されるようになりました。
ここでは、スマートテレビが登場した当初の状況とその後の展開を中心に、
スマートテレビの特徴・使い方等を紹介します。
なお、スマートテレビの最新の情報・動向については、別のページで紹介します。
スマートテレビとは何かは明確に決められていませんが、考え方としては、
- テレビ放送に加えてインターネットにも接続して、映像や関連情報を利用できる
- 他の機器とホームネットワークで接続して機器間連携ができる
- アプリケーションソフト(アプリ)を後から追加して機能を拡張できる
- 使いやすいユーザーインターフェースで簡単に操作できる
など、テレビをスマート化(より賢く)すると共に、テレビを中心にデジタル機器をネットワーク化して、 色々な情報を活用するデジタルライフの中心機器にしようとするものといえます。
このような方向性に向けて、日本の各メーカーも様々な動きを見せてきました。
当初は、ソニーがGoogleと提携して検索機能を付加した「Sony Internet TV」を2010年10月に米国で発売しました。その後、
パナソニックは「Smart VIERA」のコンセプトのもとにビエラ・コネクト(VIERA Connect)のサービスを2011年春から開始し、
東芝は、スマートフォンと連携して操作性や利便性を向上するAppsを使うレグザAppsコネクト(REGZA Apps Connect)というサービスを国内で始めました。
2012年以降はデジタルTVの需要拡大をはかる狙いもあり、スマートテレビをスマートホームの中心機器として位置付けて、 インターネットクラウドサービスとの連携やスマートフォン・タブレットとの連携など各メーカーは様々な展開を進めています。
以下では、スマートテレビ(Smart TV)の特徴や使い方、動向などの概要を紹介していきます。
<スマートテレビの大きな動き>
家電ショー「CES2015」(2015年)
米国ラスベガスで開催された家電ショー「CES2015」では各家電メーカーが最新モデルを展示しましたが、
注目点は以下のようなスマートテレビ向けのOSを搭載していることです。
ソニー、シャープ、フィリップス:「Android TV」
パナソニック:「Firefox OS」
サムスン:「Tizen OS」
LG電子:「Web OS」
各メーカーはテレビOSとして今後の自社製品に搭載することを発表していました。
OS搭載モデルの発売
パナソニックはFirefox OS採用で操作性も一新した4K液晶テレビ「VIERA CX800シリーズ」を2015年5月下旬より発売。
LG電子はWebOS 2.0搭載のフルHDモデル「LF6300」など3シリーズ8モデルを2015年4月上旬より順次発売。
家電メーカーの動き
米国市場をメインターゲットにしているサムスンやLGはビデオオンデマンド機能や操作性(ユーザーインターフェース)の向上を重視。
国内メーカーはスマートフォン・タブレットとの連携やSNS(ソーシャルネットワークサービス)の利用を展開。
パナソニックはユーザーインターフェースを向上した「マイホーム」機能を搭載したVIERA「DT60/E60シリーズ」(2013年春モデル) や「FT60/VT60シリーズ」(夏モデル)を発売開始。
<関連情報>
IPTVフォーラムは、ハイブリッドキャスト(Hybridcast)を使ったスマートテレビ向けサービスの普及促進などを目的とした
「次世代スマートテレビ推進センター」の事業を2013年7月29日より開始。
詳細はこちらを参照してください。
IPTVフォーラムは2013年3月29日に放送/通信連携サービスの規格化に関する記者発表会を開催して、 スマートテレビ標準化に向けた「Hybridcast ver.1.0」を公開した。
Smart TV Allianceは2013年1月9日(米国時間)に、2013 International CESにあわせて記者会見を開催。
パナソニックやIBMなどの新規加入社の増加を報告するとともに、今後の展開について説明した。
・Smart TV Allianceの狙い
・Smart TV Alianceの規格
・アライアンス各社の取り組み
・ロードマップ、など
<参考>スマートTVスティックについて
デジタルTVのHDMI端子に接続して利用するスマートTVスティックというアダプタ機器が発売されました。
主に通信キヤリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど)が提供しており、自社の通信回線につなげて動画配信サービスをテレビで視聴できるようにしています。
操作はスマートフォン・タブレットや専用リモコンが使用できます。
スマートTVという名称が付けられていますが、現状では動画配信サービスを利用するための専用アダプタ装置といえます。
詳細については、「HDMIスティックデバイス」のページをご覧ください。
スマートテレビ(Smart TV)の特徴
放送局やインターネットプロバイダから配信された放送を受動的に見るだけのテレビではなくて、
ユーザ側から働きかけて必要な映像・情報をオンデマンドで利用できることや、
映像コンテンツに関する各種情報を検索して表示できることや、
インターネット上のSNS(Social Network Service)を利用できることなど、高度なインターラクティブ性が「スマート」
という言葉が表す一つの特徴といえます。
また、映像を始めとする各種コンテンツとのインターラクティブ性や、
スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器や関連デジタル機器とのインターラクティブ性を実現するためのプリケーション
(アプリ)をスマートフォンのように追加していけるのも「スマート」が表す特徴といえます。
更に、テレビを操作するインターフェースとしてスマートフォンやタブレット端末を利用できる点も特徴の一つです。
例えば、テレビのコントロールをスマートフォンのタッチ操作で行ったり、
タブレットで見ている映像等をタッチ操作でテレビ画面上に表示させられることなどがあります。
また、家庭内外の生活情報(健康/ショッピング/省エネ/節電/その他)とも連携して、 映像を観るためのテレビから更に情報を賢く利用・操作するインターフェースとして活用することにより、 スマートテレビを中心としたスマートホーム(スマートハウス)を構築していこうとする考え方もあります。
スマートテレビの紹介事例(YouTube:東京ITニュースより)
スマートテレビへの各社の対応(当初の動き)
現在の時点(2022年)では、多機能なスマートテレビが各メーカーから発売されており、
放送を見るだけのテレビから情報も得るためのテレビへと展開しています。
テレビのリモコンには多様な動画配信サービスの専用ボタンが追加されており、
オンデマンドで希望のコンテンツを視聴したり、インターネットにアクセスしたり、
音声でのテレビ操作も可能になっています。
以下では、スマートテレビの開発・展開に向けた各メーカーの当初の取り組みや動きについて紹介します。
日本では、インターネットを利用した映像配信サービスの「アクトビラ」や「ひかりTV」 などに対応するデジタルTVが当初発売されましたが、YouTubeを見れるのはまだ少ない状況でした。 しかし、米国ではすでにインターネットTVが普及しており、オンラインのビデオレンタルを利用したり、 YouTubeをテレビで見たりするのが当たり前になっています。 更に、日本のような厳しい著作権保護がないので、放送コンテンツやビデオコンテンツを2次使用できるようになっています。 例えば、ABC、NBC、FOXが共同で、全てのテレビ番組を見れる「hulu.com」というサイトを作っており、 ケーブルテレビ各社のオンデマンド配信も普及しています。
このような背景から、スマートテレビへの対応は日本よりも米国が進んでおり、その一つの動きとして、
Googleが発表した「Google TV」に対応する「Sony Internet TV」をソニーが2010年10月に米国で発売しました。
デジタルTVの中にGoogleのAndroid OSを搭載しており、アプレットを利用して検索を始めとする各種機能を実現しようとしています。
しかし、テレビが見れる大画面のタブレット端末という位置付けでは、
テレビを気軽に見るだけの従来のユーザには受け入れられないのではないか等の課題もあり、
今後、どのように展開していくかはユーザの反応をみていく状況でした。(2011年当時)
2012年になるとインターネットクラウドサービス・SNSとの連携による情報の利用やモバイル機器との連携などが進展し、 更に、VODサービスや映像コンテンツが増えるようになりインターネット映像を視聴する面でも関心が高まってきました。
スマートテレビに対するメーカーの動きとしては、米国のテレビ市場で大きなシェアを得ている韓国のサムスンやLGが積極的に進めていますが、 日本のメーカーも国内向けにスマート化への取り組みを始めています。
スマートテレビに対して各メーカーが取り組んできた概要を以下に紹介します。
サムスンの場合
サムスンのスマートテレビの使い方を表すイメージビデオを以下に掲載しました(YouTubeより)。
次のような使い方の事例が分かります。
- サムスンAppsを使って操作
- 簡単に検索をコントロールできるインターフェース
- FacebookのようなSNSとの連携
- 検索やコントロールをリモート機器でタッチ操作
- 見ているムービーに関する情報を検索して画面に表示
- スマートフォン等の画面をそのままテレビ画面に移動表示
スマートテレビの紹介事例(サムスン)
LGの場合
LGエレクトロニクス・ジャパンが日本向けの液晶テレビ製品「LG Smart TV」を発売しています。
ネットワーク機能を充実させた最新の2013年モデル(7シリーズ17機種)が4月3日に発表されています。
展示会での説明の様子を映したビデオを以下に掲載しました(YouTubeより)。 テレビ画面に色々なAppsのサムネイルを表示して、 それらを操作して得られる映像や各種情報が表示される様子が分かります。
スマートテレビの紹介事例(LG電子)
スマートテレビの最新コマーシャル(LG電子)
パナソニックの場合
クラウド型インターネットサービス「VIERA CAST」を欧米で実施していましたが、これを発展させた「VIERA Connect」
を2011年春から米国で開始し、これに対応するネットテレビ「Smart TV」を米国で市場投入しています。
2011 International CESのパナソニックブースで、「VIERA Connect」を説明しているビデオを以下に掲載しました(YouTubeより)。
コントロールはテレビのリモコンで行っており、スカイプを使ったテレビ電話の様子や、
各種Appsやアイコンを使ってサービスを利用する様子が分かります。
更に、Appsとアクセサリーを使って家庭での健康管理やゲームとの連携ができることや、
VIERA Tabletを使ったビジュアルなリモートコントロールや、SNSとの連携などの様子が分かります。
日本ではデジタルTVのVIERA向けにアプリケーション(アプリ)を用意して2011年10月からビエラ・コネクト(VIERA CONNECT)サービスを開始し、
簡単なリモコン操作でVOD(Video on Demand)からショッピングまでいろいろなサービスを利用できるようになっています。
詳細は、「ビエラ・コネクト(VIERA CONNECT)とは -特徴と使い方-」のページをご覧ください。
また、2012年から「スマートビエラ」シリーズを発売しており、2013年春の新製品(DT60/E60シリーズ)では、
操作性を向上した「マイホーム」機能やネットワーク機能、スマートフォン・タブレットとの連携、
SNSの利用などを特徴としています。
VIERAの詳細は、「VIERAの使い方」のページを参照してください。
ソニーの場合
Sony Internet TVを紹介しているビデオを以下に掲載しました(YouTubeより)。
特徴として次のような点が説明されています。
- テレビの世界とインターネットをシームレスに結合
- インターネット上の情報を検索して利用できる
- 放送映像や静止画や音楽をブックマークして利用
- その他
日本国内では、facebookやTwitterなどを表示したり、Skypeを使用したテレビ電話が行えるなど、
コミュニケーションサービスにも対応するBRAVIAの新製品が、「インターネットテレビ」という位置付けで2011年4月に発売されました。
また、2012年からはインターネット情報との連携を強化した「ソニーエンターテインメントネットワーク(SEN)」
を開始しており、動画・音楽のオンデマンド、ショッピング、コミュニケーション、情報検索・管理などのサービスを利用できるようになっています。
対応製品はHX950/HX850/HX750/EX750/550/EX540などであり、リモコンには操作を行うためのSENボタンが付いています。
BRAVIAの詳細は、「BRAVIAの使い方」のページを参照してください。
東芝の場合
iPhoneやiPadなどを用いてCELL REGZAやREGZAブルーレイと連携するサービス「レグザAppsコネクト(REGZA Apps Connect)」
を2010年10月から開始しました。当初はiOS版アプリが配布されましたが、
2011年にはAndroid対応スマートフォンの普及に伴いAndroid版アプリが増えています。
「REGZA Apps Connect」の機能について紹介しているビデオを以下に掲載しました(YouTubeより)。
説明されている「REGZA Apps Connect」の主な特徴は、
- Appsを使用して、新しい操作性と視聴性を提供
- スマートフォンのタッチ操作でREGZAをコントロール
- タグリストを公開してクラウドで共有
- CELL REGZAやREGZAブルーレイでの利用から開始
- 当初はiOS版だが、Android版やWindows7版も予定
レグザAppsコネクトの詳細は「レグザAppsコネクト(Regza Apps Connect)とは」のページをご覧ください。
また、「レグザAppsコネクト」に対応するデジタルTV「REGZA」の新製品が2011年春から発売されるようになりました。
対応製品例は、
Z7/J7シリーズ(2012年秋冬モデル)
ZT3シリーズ(2012年1月モデル)
Z3/ZP3シリーズ(2011年秋モデル)
ZG2シリーズ、ZP2シリーズ(2011年夏モデル)
Z2シリーズ、RB2シリーズ(2011年春モデル)
Z7/J7シリーズは新たなクラウドサービス「Time On」に対応しており、放送番組に関するインターネット上の情報との連携を図っています。
REGZAの詳細は、「REGZAの使い方」のページを参照してください。
東芝のBDレコーダー「REGZAブルーレイ」もレグザAppsコネクトに対応する製品が発売されるようになっています。
製品例等は、「BDレコーダーの使い方」のページをご覧ください。
<スマートテレビの最新の動向・情報>
スマートテレビの最新の動向・情報については、別のページで紹介します。