スマートホームとは
スマートホームとは、家庭内の電化製品や情報家電製品や各種センサー・カメラなどをネットワークでつないで一括管理し、
これらをコントロールして快適なライフスタイルを実現する住まいを表しています。
また、各機器の消費電力をモニタ/制御して、太陽光発電や蓄電を含めて省エネや節電のためのエネルギーコントロールを行う住まいも表しており、
エネルギー管理に着目した場合はスマートハウスと呼ばれることが多いです。(図1を参照)
スマートホームが特に注目されるようになったのは、 Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーやスマートリモコンなどが発売されてテレビ、エアコン、 照明等をスマホや音声でリモートコントロールできるようになったり、 各種センサーや見守りカメラなどを用いて安全安心な生活環境を作れるようになった事などが切っ掛けとしてあります。
また、コントロールできる電化製品はスマート家電と呼ばれていますが、現在では、エアコン、炊飯器、
電子レンジなど各種製品がパナソニックや東芝、シャープなどから発売されており、
スマートフォンやタブレット等でリモート制御したり、インターネット情報と連携することができます。
一方、エネルギーのコントロールについては、太陽光発電や家庭用蓄電池、更には電気自動車まで含めて管理するHEMS
(Home Energy Management System:ホーム エネルギー マネージメント システム)というシステムが標準化されて、
電機メーカー、住宅メーカー、自動車メーカーなどが実際に提供するようになっています。
図1 スマートホーム(スマートハウス)とは
このようなスマートホーム(あるいは、スマートハウス)は、何をしたいか、何ができるか等の着目ポイントによって、
呼び方が変わったり、システム形態・構成も変わってきます。
<事例>
- 生活家電や住宅機器などをコントロールするスマートホーム
- ホームセキュリティや子供/ペット/高齢者の見守りに着目したスマートホーム
- 電力コントロールを主体にしたスマートハウス
以下では、それぞれの特徴や実例などを取り上げて紹介していきます。
<参考>先駆的な動き
日本語対応のスマートスピーカー(AIスピーカー)
「Clova WAVE」が2017年10月に国内でも発売されるようになり、
その後も日本語に対応したGoogle Home、
Amazon Echo
などのスマートスピーカー・スマートディスプレイも発売されて、これらをスマートホームに取り込んだシステムが注目されるようになりました。
スマートホームシステムの製品化が始まる
東京や神奈川でCATVサービスを提供している「イッツコム」がCATV網を利用したインテリジェントホームサービスを2015年2月から開始し、
2021年からはiTSCOM HOME
に移行してサービスを行っています。
スマートホームの概要
スマートホーム(あるいは、スマートハウス)への取り組みは古くから行われており、
- 1990年代のホームオートメーション、インテリジェント住宅、マルチメディア住宅
- 2000年代の情報家電への取り組みやインターネットの導入
などがありました。
2010年代になると省エネや節電に着目して家庭や地域のエネルギー消費をコントロールする住宅が取り上げられるようになり、
2012年には経済産業省主導のもとに「スマートハウス標準化検討会」がつくられました。
この検討会ではスマートハウスの中核技術であるエネルギーを管理するHEMS(Home Energy Management System:ホーム エネルギー マネージメント システム)
と家庭内機器とのインターフェースの標準化が検討され、制御信号を通信する方式としてはエコーネット・コンソーシアムが策定した「ECHONET Lite」
が標準として採用されています。
HEMSとECHONET Liteの関係は図2のようになっています。
スマートハウス標準化検討会ではスマートハウスを、
- 太陽光発電システムや燃料電池を利用してエネルギーを創出する創エネ機器
- 蓄電池や電気自動車(EV)などを利用してエネルギーを蓄積する蓄エネ機器
- 住宅内で使用される照明やエアコン、調理機器等の家電製品
の3種をネットワーク化して、居住者の快適さを保ちながらエネルギー使用量を削減することを目的としたシステムであるとしています。
図2 HEMS(ヘムス)とECHONET Lite(エコーネットライト)の関係
一方、2017年頃からAmazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカー
やスマートリモコンなどが発売されるようになり、
生活家電をリモートコントロールするホームオートメーションやホームセキュリティに注目するスマートホームが拡大するようになりました。
各種センサーや見守りカメラなどのスマートホームデバイスやスマート家電などの電化製品も発売されるようになって、
一般家庭でもスマートホームが注目されるようになっています。
また、パナソニックやシャープなどの家電メーカーはスマート家電を発売してシステム化するようになっています。
更に、パナソニックやイッツコム(旧東急ケーブルテレビ)
など多くの企業がホームオートメーションやホームセキュリティに着目したスマートホームをシステム商品として製品化するようになりました。
これらについては以下で紹介します。
ホームオートメーションやホームセキュリティ
に着目したスマートホーム
Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーやスマートリモコンなどを利用するスマートホームは、 個別のスマートホームデバイスを入手すれば個人でも構成することができます。 以下に、スマートホームのデバイス例やシステム例、及び、スマートホームの作り方などに関するページを掲載しました。
「SwitchBotの使い方 -スマートホームを作る-」
「スマートホームシステムの製品動向」
「スマートホームデバイス」
スマートスピーカーを用いてテレビ、照明など複数の家電を音声で同時にON/OFFする方法を紹介。
「Google Homeでいろいろな家電を同時に音声操作」
スマートホームシステムを簡単に構成する方法を紹介しています。
「賃貸マンション/アパートの自室をスマートホームに」
話題のIoT(Internet of Things)とホームネットワークの関係について紹介。
「IoTとホームネットワーク」
Wi-Fiなどのネットワーク機能を備えている赤外学習リモコン(スマートリモコン)を利用すると、 エアコン、テレビ、照明等をスマートフォンで簡単にリモートコントロールすることができます。 詳細については「家電製品をリモート操作」のページで紹介しています。
スマート家電をコントロールするスマートホーム
スマートホームあるいはスマートハウスで使用されるスマート家電は、ネットワークを介して稼働状況や消費電力をモニタして、
スマートフォン等でリモートコントロールできる電化製品です。
このようなスマート家電製品はパナソニックやシャープ、東芝などが各種機器を発表していますので以下に紹介します。
パナソニックのスマート家電
スマートフォンで操作する生活家電としては、エアコン、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、冷蔵庫、IHクッキングヒーター、加湿空気清浄機、照明器具などがあり、
デジタルAV機器としては、デジタルTV、BDレコーダ、オーディオ機器、ビデオカメラなどがあります。
また、スマートフォンと連携するためのアプリ『パナソニック スマート アプリ』が提供されており、
アプリを通してネットから新しい情報を取り入れることで、家電がもっと便利に使えるようになっています。
パナソニックが挙げている主なサービス例を以下に列挙しました。
- 冷蔵庫:スマートフォンでタッチすると、扉の開閉回数やエコナビ率が表示
- 洗濯機:最新の洗剤にあわせてカンタン設定
- オーブンレンジ:お好みのレシピからカンタン設定
- 炊飯器:お米の銘柄によって最適な炊き方を設定
- IHクッキングヒーター:レシピに合わせて加熱温度・時間を自動調整
- エアコン:運転状況を外出先から確認、運転オン/オフ、温度/風量/風向設定
- エアコン:無線アクセスして現在の電気代や月ごとの電気代をチェック
- 加湿空気清浄機:空気の汚れと湿度をグラフ表示、最適な運転設定を診断
- おへやモニター:離れた・留守番中の家族の様子をチェック
- 体組成バランス計:体重などの健康データをグラフ化
- テレビ:写真を、大画面のテレビに表示
- デジタルカメラ:高画質な写真を、コピーしてシェア
- オーディオ:スマートフォンの音楽をスピーカーに転送
シャープのスマート家電
シャープは古くからスマート家電に取り組んでおり、最新ではAI(Artificial Intelligence:人工知能)とIoT(Internet of Things:モノのインターネット)
を組み合わせた「AIoT対応スマート家電」
という位置づけで製品化を進めています。
シャープが提供するアプリ「COCORO HOME」でAIoT対応スマート家電を統括的にコントロールできるようになっており、
COCORO VISIONを利用すると、連携している家電の運転状況をテレビの大画面でも確認可能です。
また、スマートフォンのアプリを使うと外出先から家電の操作が行えます。
東芝のスマート家電
東芝は「家電コンシェルジュ」を2013年から始めており、
HEMSで管理する家電製品としてエアコンや冷蔵庫、洗濯機などを発売しています。
これらはスマートフォンと連携してコントロールすることができ、更に、REGZAクラウドサービス「Time On」
の新機能としてテレビ画面上でスマート家電の使用状況や操作が行えるサービスをデジタルTVのZ8/J8シリーズから開始しています。
具体的には、スマート家電の運転状況の一覧表示、エアコンや照明のON/OFFを表示、洗濯機の終了をポップアップ表示、照明ライトの切り替え、
などがアダプタ装置(HAアダプタ)を用いてできます。
スマートホームのシステム事例
ホームオートメーションやホームセキュリティに着目したスマートホームシステムの製品化が進んできました。
代表的なスマートホームシステムとしては、
- パナソニックのスマ@ホームシステム
- イッツコムのiTSCOM HOME
- KDDI等のau Home
などが製品化されるようになりました。
また、最近では、
- ソニーのMANOMA
- アクセルラボのSpaceCore
- FAMILYNET JAPANのrimoco+
- LIXILのライフアシスト2
- 三菱地所のHOMETACT
- 日栄インテックのnHome
- Linkjapanのelife
など多くの会社がスマートホームシステムをサービスとして提供するようになりました。
最新の動向は下記のページで紹介していますのでご覧ください。
「スマートホームシステムの製品動向」
<参考>
当初からスタートしているシステム、サービスは次のような事例があります。
イッツ・コムのスマートホームサービス
東京や神奈川でCATVサービスを行っている「イッツ・コム」は各家庭に配線されているCATV網を利用したスマートホームサービス
「インテリジェントホーム」を2015年2月から始めており、下記のようなサービスを始めました。
2021年からは「iTSCOM HOME」
に移行してサービスを行っています。
- ネットワークカメラ(IPカメラ)を利用した子供やペットの見守りサービス
- モーションセンサーやドア・窓センサーを利用した見守り/防犯サービス
- 電子錠のリモート管理サービス
- エアコン、照明などのリモート制御サービス
これらはスマートフォン/タブレットやパソコンでリモート操作及び確認ができるようになっています。 また、警備員の駆け付けサービスも予定されています。
パナソニックのスマートタウン
神奈川県藤沢市につくられている「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(FujisawaSST)」は、
パナソニックをはじめとしてパナホームなどのパートナー企業18社と藤沢市が官民一体で実現を目指す環境配慮型の街づくり計画であり、2018年度完成の予定です。
ここでは、パナホームが手がける戸建住宅街区の全戸に「創蓄連携システム」を採用してスマートハウス化し、CO2排出量±0(ゼロ)を実現するとともに、
停電時でも電力供給を可能にしています。さらに、街全体でエネルギー情報を管理し、CO2排出の抑制を推進しています。
エネルギー管理を主体にしたスマートハウス
家庭内のエネルギー管理を行って省エネや節電に重点を置いた住まいは特にスマートハウスと呼ばれており、 家電メーカー、住宅メーカー、自動車メーカーなどがスマートハウス構想を発表して、実際に製品システムを提供するようになっています。
スマートハウスの重要ポイントは、
- 太陽光発電システム
- 家庭用蓄電池
- 蓄電池としても使える電気自動車
- 省エネ/節電を目指す家電製品
などの家庭用機器ですが、これらの他に、
- 電力の使用量が分かるスマートメーター
- 機器の運転状況や電力をモニタしてリモート操作する機器
があり、モニタやリモート操作はスマートフォンなどのモバイル機器で行うようになっています。
また、スマートハウス(あるいは、スマートホーム)の利用例としては、例えば、次のような事例が挙げられています。
- 照明器具やエアコン、生活家電の電力をモニタして、ON/OFFや電力量を調整する。
- 白物家電やAV機器を制御する。
- 外部からPCやスマートフォンでアクセスして、自宅の保存コンテンツを再生する。
- 外部からスマートフォン等でAV機の自動録画・消去を行う。
- 監視カメラで家庭内の状況を把握したり、窓/ブラインドの開閉を行う。
- 医療機器・健康器具などの遠隔モニターや操作を行う。
- 電化製品の稼動状況の確認や、ガス漏れや火災などの探知を行う。
- 各家庭を訪問すること無しに、電力、水道、ガスなどの自動検針を行う。
- その他
スマートハウスの主要技術はエネルギー管理を行うHEMS(Home Energy Management System)であり、制御を行う通信方式はエコーネット・ライトが採用されています。
HEMSを用いたスマートハウスは各社から提示されていますが、イメージ図の事例を図3に掲載しました。
また、パナソニックは「スマートHEMS」というシステム商品を展開していますので詳細は以下の動画を参照してください。
エコーネットライトはスマートハウス向け制御プロトコルおよびセンサーネットプロトコルでもあり、 図4のような家庭内に設置されたセンサーを利用して快適なライフスタイルを実現するのにも利用されています。
図3 HEMSを利用したスマートハウスの事例
(住友林業ホームテックのホームページより)
図4 スマートホームに設置される各種センサーの例
(株式会社フジコムのホームページより)