PC用デジタル放送チューナーによる録画
地デジ・BS・CSなどのデジタル放送をパソコンで視聴・録画するには、当初は、
デジタル放送チューナーを内蔵したテレビパソコンを使用するか、
低解像度のワンセグチューナーを利用するしかありませんでした。
これは、外付けのデジタル放送チューナーがあるとデジタル放送のコンテンツ保護が解除され、
自由に録画・コピーされたり、インターネット上に配信されるのを放送業界が懸念して、
PC用のデジタル放送チューナーの販売を実質的には認めていなかったことなどによります。
しかし、デジタル放送のコピー制御信号を無視して、自由に放送番組を録画・
複製できるデジタル放送チューナー「Friio」が発売されたことや、また、
デジタル放送対応機器の普及を加速することなどが考慮されて、
パソコンを用いてデジタル放送を広く利用できるようにPC用の外付けデジタル放送チューナー
(デスクトップPCに内蔵、あるいは、USBで接続)が2008年4月に各メーカーから一斉に発売されました。
PC用デジタル放送チューナーを使用するとパソコン内のHDDだけでなく外付けのHDDにも録画・保存するすることができます。
通常は録画に使用したパソコンでの再生・視聴になりますが、
著作権保護技術DTCP-IP対応のデジタル放送チューナーを用いると、
ホームネットワーク(家庭内LAN)を介してデジタルTVやネットワークメディアプレーヤーなどのクライアント機器による録画番組の再生・
視聴を行うことができます。
また、番組の録画予約や録画番組の編集ができる高機能な製品も発売されるようになりました。
PC用デジタル放送チューナーを選ぶポイント
PC用デジタル放送チューナー利用する際に着目すべき点としては下記の項目があります。
地デジだけか3波対応か
地デジだけに対応する製品の他に、BSデジタルやCSデジタルを含めた3波にも対応する製品が発売されていますので、
購入する際はどちらのタイプの製品か確認しておく必要があります。3波対応はIO DATA、Buffalo、ピクセラ等から発売されています。
パソコンとの接続
形態としては、パソコンとの接続をUSBで行う外付けタイプと、
デスクトップPCのPCI ExpressやPCIインターフェースに接続する内蔵タイプがあります。
なお、デスクトップPCの場合は、グラフィックボードとディスプレイが著作権保護技術「HDCP」に対応している必要があります。
ダブル録画(W録)
内部にチューナーを2個搭載して同時W録できる製品もあります。例えば、ピクセラの製品には3波のいずれかをW録でき、
IO DATAの製品には地デジをW録できるものがあります。
DTCP-IP対応
パソコンのHDD内に保存されたデジタル放送コンテンツをホームネットワークを介してクライアント機器で視聴するには、
DTCP-IP対応のPC用デジタル放送チューナーを用いる必要があります。
また、クライアント機器も著作権保護技術のDTCP-IPに対応している必要があります。
DTCP-IP対応のクライアント機器の例、
- デジタルTV 東芝、ソニー、日立、パナソニック、シャープ
- ネットワークメディアプレーヤー Buffalo、IO DATA
- ゲーム機 ソニー PS3(2009年9月より)
録画番組の編集
気に入ったシーンを結合したり、不要なシーンを削除するなど各種編集機能を持つ製品が発売されています。
1フレーム単位での編集や、長時間録画した番組を編集した後にBDやDVDに保存も可能です。
例:IO DATAのGV-MVP/XZ、GV-MVP/XSW、GV-MVP/XS、他。
長時間録画
デジタル放送の解像度を落とさないで最大15倍に圧縮処理するトランスコード機能を搭載した製品が発売されています。
MPEG2-TS形式のデジタル放送を、低ビットレートのMPEG4-AVC/H.264形式に画質を維持して変換するので、
HDDに記憶するファイル容量が同じでも長時間の録画が可能になります。
例:IO DATAのGV-MVP/XZ、GV-MVP/XSW、GV-MVP/XS、他。
複数チャンネルの同時録画
複数個のPC用デジタル放送チューナーを1台のパソコンに接続して、
複数のデジタル放送チャンネルを同時に録画することができます。
例えば、1台のパソコンに地デジ放送チューナーを4台接続(USB接続タイプを2台、PCI接続タイプを2台)すると、
各チューナーが1チャンネル分の録画を行い4台で4チャンネルの放送をHDDに同時に録画することができます。
<注意点>
利用できるパソコンはチューナーが動作できる仕様を満たしている必要がありますので、
メーカーの製品ホームページ等で対応できるかを確認しておいた方がよいです。
特に、複数台のPC用デジタル放送チューナーを使用して複数チャンネルを録画する場合は
Core 2 Duoクラスの性能のパソコンが適しています。
PC用デジタル放送チューナーを離れた場所に設置
PC用デジタル放送チューナーはパソコンにUSBケーブルで接続するかパソコンに内蔵して使用しますが、
デジタル放送の同軸端子がパソコンの近くに無い場合は同軸ケーブルを敷設するのが大変です。
そのような場合は、以下の図のようにUSBデバイスサーバ
を用いるとホームネットワークを介してPC用デジタル放送チューナーをパソコンに接続することができます。
例えば、デジタル放送の同軸端子が別の部屋にある場合、そこにLANケーブルが敷設されていれば、
USBデバイスサーバをLANケーブルを接続し、そのUSBデバイスサーバにPC用デジタル放送チューナーをUSBケーブルで接続します。
パソコンからみると、USBデバイスサーバを用いることにより、
PC用デジタル放送チューナーをLANケーブルで延長した形となります。
PC用デジタル放送チューナーが1台であっても、これを複数のパソコンで利用することもできます。
また、パソコンが無線LANで接続されている場合は無線LAN対応のUSBデバイスサーバを使用すれば、
家のどこでもデジタル放送を視聴できるようになります。なお、無線LANは高速なIEEE802.11nが適しています。
PC用デジタル放送チューナーをホームネットワークで接続
PC用デジタル放送チューナー製品
PC用デジタル放送チューナーの主な製品を以下に紹介します。