DLNA対応スマートフォン(スマホ)
スマートフォンは内部に搭載されている無線LANを利用して
ホームネットワーク(家庭内LAN)に接続されているPCやNASなどに接続すれば、
これらの機器内のコンテンツ(動画、静止画、音楽)を再生・視聴することができます。
また、スマートフォン内のコンテンツを配信して、デジタルTVやパソコン等で再生することも可能です。
更に、接続機器をスマートフォンでコントロールすることもできるようになります。
このようなホームネットワーク機器との連携を行うためには、機器間相互接続方式のDLNA
に対応するアプリを搭載する必要がありますが、iOSやAndroidなどのスマートフォンはDLNA対応アプリを標準で搭載するようになっており、
DLNA対応のアプリもApp StoreやGoogle Playストアで提供されるようになっています。
また、デジタルTV等で録画した放送番組をスマートフォンで扱うにはDLNAだけでなく著作権保護方式の
DTCP-IPにも対応していなければいけませんが、
DLNAとDTCP-IPに対応する「DiXiM Play」
などのアプリも提供されるようになっています。
更に、スマートフォンとデジタル家電との連携は家電メーカーも積極的に推進しており、
例えば、デジタルTVやBDレコーダと連携して、録画番組を持ち出したり、
外出先から放送中の番組や録画番組を視聴できるようになっています。
以下では、パソコン・周辺機器やデジタル家電等との連携に着目して、
・DLNA対応スマートフォンの概要
・DLNA対応スマートフォンの種類
・DLNA対応スマートフォンのアプリ
等について紹介します。
図1 ホームネットワークでスマートフォンを使用
(ホームネットワーク機器との連携)
関連ページ
DLNAの概要やDLNA対応機器、DLNA対応ソフトについては、
「DLNAとは」のページにまとめてありますのでご覧下さい。
スマートフォンはDLNAのバージョン1.5を利用してサーバ機能やコントロール機能を持たせています。
DLNAのバージョンについては、「DLNAのバージョン」のページにまとめてあります。
スマートフォン関連ページ
DLNA対応スマートフォンの概要
スマートフォンは、当初、第3世代移動通信システム(3G)の通信に対応した「iPhone 3G」が2008年7月にソフトバンク
(メーカーはアップル社)から発売され、続いて2011年10月には「iPhone 4」が発売されて大きな国内シェアを取っており、
NTTドコモやauのスマートフォンは大きく引き離されている状況でした。
しかし、NTTドコモやauはシェアを拡大するために、高機能なOSのAndroid2.2を搭載した「Galaxy S」
(NTTドコモ)や「IS03」(au)を2010年秋に発売し、
その後も国内のニーズに合わせた特徴や新機能を搭載した新製品を次々と市場投入して、2011年以降はシュア争いが激しくなってきました。
スマートフォンは機器固有の性能のほかに、搭載されているアプリケーションが人気を得る重要な要素となっています。
そのようなアプリの中で注目された機能の一つが、
図1に示したのようなホームネットワーク機器との連携です。
このようなニーズに対応できるようにスマートフォンは家庭内でも使われている無線LAN規格(IEEE802.11n、など)
を利用したWi-Fi機能を内蔵し、
パソコン・周辺機器やデジタル家電と連携するための方式DLNA、DTCP-IPに対応するアプリを使用できるようにしました。
また、LTEなどの高速通信回線に接続してスマートフォンをWi-Fiアクセスポイントとして利用できる
テザリング機能も搭載するようになりました。
DLNA対応スマートフォンの種類
アップル社独自のOSであるiOSを搭載したiPhoneや、
グーグルが提供しているオープンソースのOSであるAndroidを搭載したスマートフォンに対して、
DLNA機能を付加するためのアプリ(ソフト)が各種提供されています。
それらのアプリを利用できる製品としては、
以下の表1に示したような機種が発売されておりDLNA対応機器として利用できます。
多くの製品にDLNA対応アプリが標準搭載されるようになりましたが、搭載されていない製品であっても、
最新のほとんどのスマートフォンはアプリを追加すればDLNA機能を持たせるようになっています。
また、ホームネットワーク機器との接続は搭載されている無線LANを利用していますが、 最新のスマートフォンはほとんどが超高速無線LAN規格のIEEE802.11axにも対応しており、 高画質な映像もスムーズに扱えるような高速通信が可能になっています。
ドコモ、au、ソフトバンク等のキャリアが扱っている発売予定の新製品と発売中の製品は、下記の各社サイトに一覧表示されています。
表1 各キャリアが発売しているスマートフォンのメーカーと主な機種
ドコモ | au | ソフトバンク | |
Apple |
iPhone |
iPhone |
iPhone |
Google Pixel |
Google Pixel |
--- |
|
ソニー |
Xperia |
Xperia |
Xperia |
サムスン |
Galaxy |
Galaxy |
Galaxy |
シャープ |
AQUOS |
AQUOS |
AQUOS |
FCNT |
arrows |
arrows |
arrows |
Xiaomi |
--- |
Xiaomi |
Xiaomi |
motorola |
--- |
--- |
motorola |
OPPO |
--- |
--- |
OPPO Reno |
<参考>
DLNAに対応する(対応できる)ようになった当初の機種
を参考までに以下に掲載しました。
これら以降の機種はほとんどがDLNA機能を利用できるようになっています。
製品名・型番 キャリア メーカー |
商品情報 | 概 要 |
---|---|---|
iPhone 4 ソフトバンクモバイル アップル |
アップル |
画面サイズ:3.5型 OS:iOS 4.1 無線LAN:IEEE802.11b/g/n DLNA対応アプリ(ダウンロード): Media Link Player Lite(無料)、他、 有償版「Media Link Player for iPhone」 が2010年11月に提供。 |
Galaxy S NTTドコモ サムスン電子 |
NTTドコモ |
画面サイズ:4型 OS:Android 2.2 無線LAN:IEEE802.11b/g/n DLNA対応アプリ:AllShare標準搭載 2010年10月下旬発売 |
HTC Desire HD(001HT) ソフトバンクモバイル HTC |
ソフトバンクモバイル |
画面サイズ:4.3型 OS:Android 2.2 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:標準搭載 2010年11月上旬以降発売 |
REGZA Phone IS04 ドコモ 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ |
au |
画面サイズ:4型 OS:Android 2.1 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ/プレーヤー機能搭載 2010年12月~2011年1月発売 |
REGZA Phone T-01C ドコモ 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ |
NTTドコモ |
画面サイズ:4型 OS:Android 2.1 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ/プレーヤー機能搭載 2011年2月発売 |
GALAPAGOS 003SH ソフトバンクモバイル シャープ |
ソフトバンクモバイル |
画面サイズ:3.8型 OS:Android 2.2 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:標準搭載 2010年12月発売 |
LYNX 3D SH-03C NTTドコモ シャープ |
NTTドコモ |
画面サイズ:3.8型 OS:Android 2.1 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ機能搭載 2010年12月発売 |
LYNX SH-10B NTTドコモ シャープ |
NTTドコモ |
画面サイズ:5型 OS:Android 1.6 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ機能搭載 Android用アプリ、他 |
Xperia NTTドコモ ソニー・エリクソン |
NTTドコモ |
画面サイズ:4型 OS:Android 1.6 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ(ダウンロード): Android用アプリ、他 |
DLNA対応スマートフォンのアプリ
スマートフォンがDLNA対応機器として機能するには、DLNA対応のアプリが内部にインストールされていなければいけません。
iPhoneやAndroidのスマートフォンは一部の機種では始めから標準搭載されている場合もありますが、
App StoreやGoogle Play ストアからDLNA対応アプリをダウンロードして、インストールする必要があります。
また、デジタルTV等で録画したデジタル放送番組をスマートフォンで扱うにはDLNAに対応し、更に、
著作権保護方式のDTCP-IPにも対応していなければいけません。
デジタル放送番組を扱える最新のスマートフォンでは、
DLNAとDTCP-IPに対応しているDiXiM Player(以下で紹介)や自社開発のアプリがプリインストールされている機種もあります。
DTCP-IP対応の個人向け単体アプリについては、2012年6月に「Twonky beam」が初めて提供されるようになりました。
DTCP-IP対応のスマートフォンについては、「DTCP-IP対応スマートフォン -デジタル放送番組の再生・ダビング-」
のページにまとめてありますので参照してください。
主なDLNA対応のアプリを以下に紹介します。
DiXiM Player
DLNA関連ソフトの開発・販売を行っているデジオン社が当初「CEATEC JAPAN 2010」
(2010年10月5日~9日に幕張メッセで開催)で発表・出展したアプリです。
2011年2月10日発売の「REGZA Phone IS04」からプリインストールアプリとして採用されるようになりました。
DLNAやUPnPに対応する機器と連携することができ、プレーヤー機能、プッシュコントロール機能、
ストリーミング配信機能を持っています。
また、DTCP-IPにも対応しており、デジタル放送の録画番組の再生やスマートフォンへの持ち出し(ダビング)
を行うことができます。
Android、iOSに対応しており、Amazon Fire TV版もあります。また、WindowsやMac/iPad用のソフトもあります。
詳細は、デジオン社のサイトを参照してください。
参考までに、プリインストールされている当初の主なスマートフォンとしては、
MEDIAS(ドコモ:ES N-05D、LTE N-04D)
ARROWS(ドコモ、au:2011年12月、2012年1月発売)
REGZA Phone(ドコモ:T-01D、au:IS11T)
などがありました。
DiXiM Digital TV for iOS(iPhone、iPad、iPod touch向け)
DLNAとDTCP-IPにも対応しているので、パソコンやNASに保存した動画・画像・音楽だけでなく録画番組も再生することができます。
更に、2013年8月30日にVer.2.0.0が公開されてDTCP-IPの新バージョンDTCP+にも対応するようになり、
家庭内の録画番組をインターネット、公衆回線を経由して外部からでもスマートフォンでストリーミング再生することができる特徴があります。
DTCP+の詳細は下記のページにまとめてあります。
VLC for Android(VLCプレーヤー)
VLCはWindows, Linux, Mac OS X, Unix, iOS, Androidなど多くのOSで利用されている定番の動画再生プレイヤーです。
多くのコーデックに対応しているので様々なファイル形式の動画を再生できるため広く利用されています。
ホームネットワークに接続されたパソコンやNAS、nasne等に保存されているコンテンツをストリーミング再生できます。
MX Player
MX Playerは無料で利用できるAndroid対応のプレーヤーアプリです。
コ―デックを内蔵しており、ほとんどの動画形式・音楽形式に対応している特徴があります。
操作性についても、画面をスライドするだけで音量や明るさ、再生位置の調節などが行えます。
ホームネットワークに接続されているパソコンやNASなどに保存されている動画・音楽などのコンテンツを快適にストリーミング再生できます。
なお、Amazon Fire TVにも対応しています。
NetFront Life Connect(Android向け)
「NetFront Life Connect」
はACCESS社が提供しているAndroid向けのDLNA対応アプリです。
DLNA(Digital Living Network Alliance)の正式認証を取得しており、Google Playから入手できます。
ホームネットワークに接続されているPCやネットワーク接続ハードディスク(NAS)に保存しているコンテンツをスマートフォンで再生したり、
スマートフォンに保存してあるコンテンツをホームネットワークに接続されたデジタルTVやPCで再生することが可能です。
また、DLNA対応機器に保存してあるコンテンツを、スマートフォンでコントロールしてデジタルTVやPCで再生させることもできます。
Media Link Player for DTV
iPhoneやAndroidスマホ向けのDLNA対応アプリ「Media Link Player for DTV」
(UPnPサーバにも対応)は(株)アルファシステムズから提供されていまいたが、2021年6月に販売を終了しました。
<参考>
Media Link Player for DTVの特徴を以下に記載しておきます。
DTCP-IPにも対応しており、DLNA対応ブルーレイレコーダなどで録画した番組を、
ホームネットワーク内のスマートフォンやタブレットでストリーミング再生でき、更に、持ち出して視聴することも可能です。
また、番組をスマートフォンなどに持ち出して外出先で視聴でき、
倍速再生や新着録画番組の一括持出機能などにも対応しています。
DLNAデバイスクラスのM-DMS、M-DMP、DMCに対応しており、
サーバ機能(M-DMS)はiPhone内のコンテンツを他の機器に配信することができます。
また、コントローラー機能(DMC)はサーバ機器内のコンテンツをレンダラー機器へ配信して表示させることができます。
更に、サーバを横断したコンテンツ検索や、各サーバ内のコンテンツから好みのプレイリストを作成できるなどの特徴があります。
ファイル形式は、MP4・M4V(H.264&AAC-LC)、MP3、AAC、JPEG、PNGなどに対応しています。
なお、DLNAのプレーヤー機能(M-DMP)だけを搭載した無償版の「Media Link Player Lite」も提供されています。
Twonky Beam(Android/iOS)
米国Twonky社が開発し、NTTドコモの関連会社となったパケット・ビデオ社が取り扱っているアプリです。
DLNAのDMS、DMP、DMC機能を搭載しており、スマートフォンをサーバやプレーヤー(Beam再生)、コントローラ(Beam転送)として利用できるようになります。
デジタル放送の著作権保護方式DTCP-IPにも対応しています。
また、、録画番組や動画をスマートフォンやタブレットにダウンロードして保存することができる特徴があります。
家庭内で再生・視聴できるだけでなく、スマートフォンなどのメモリに保存して持ち出せるので、外出先などの家庭の外でも視聴できるようになります。
更に、YouTubeやU-NEXTなど各種のインターネット動画サイトにアクセスして動画コンテンツを再生・視聴することもできます。
しかし、パケットビデオがソフトウェア開発事業を終了するため、2015年にTwonky Beamの公開を終了すると発表しました。
当初掲載しましたページを参考までに紹介しておきます。
Skifta(Android向け)
SkiftaはDLNAガイドラインを策定しているアライアンス「Digital Living Network Alliance」の正式認証を取得した初めてのアプリです。
PCやNASに保存されているコンテンツを無線LAN経由で再生するクライアント機能だけでなく、
サーバー機能も備えているのでスマートフォンに保存してある動画、静止画、音楽などを無線LAN経由でDLNA対応機器(デジタルTV、PC、ゲーム機など)
で再生させることができます。また、PicasaやFacebook上の写真、インターネットラジオ、
インターネットTVの動画などインターネット上のコンテンツにアクセスしてDLNA対応機器で再生させることも可能です。
2012年1月にラスベガスで開催された国際家電ショーCESのDLNAブースでは、Skiftaを使用したデモが行われていました。
現在では、Skifta のサービスとアプリのサポートは打ち切られてしまいました。
当初掲載しましたページを参考までに紹介しておきます。
その他のスマートフォンアプリ
Android搭載機器向けのDLNA対応アプリソフトは、
Google Play
等のサイトでも各種紹介されていますので参照してください。
但し、iPhoneの場合はアップルが承認したアプリなので信頼性は高いですが、AndroidをOSとして使用している場合は、
Androidがオープンソースであるため信頼性の低いアプリもありますので使用する際には注意してください。