DLNA対応スマートフォン(スマートホン)
スマートフォンは、当初、第3世代移動通信システム(3G)の通信に対応した「iPhone 3G」が2008年7月にソフトバンク
(メーカーはアップル社)から発売され、続いて2011年10月には「iPhone 4」が発売されて大きな国内シェアを取っており、
NTTドコモやauのスマートフォンは大きく引き離されている状況でした。
しかし、NTTドコモやauはシェアを拡大するために、高機能なOSのAndroid2.2を搭載した「Galaxy S」
(NTTドコモ)や「IS03」(au)を2010年秋に発売し、
その後も国内のニーズに合わせた特徴や新機能を搭載した新製品を次々と市場投入して、2011年以降はシュア争いが激しくなってきました。
スマートフォンは機器固有の性能のほかに、搭載されているアプリケーションが人気を得る重要な要素となっています。
そのようなアプリの中で注目されている機能の一つとして、以下の図のようなホームネットワーク機器との連携があります。
このようなニーズに対応できるようにスマートフォンは家庭内でも使われている高速な無線LAN規格(IEEE802.11n)を利用したWi-Fi機能を内蔵し、
パソコン・周辺機器やデジタル家電と連携するための方式DLNA、DTCP-IPに対応するアプリを使用できるようになっています。
また、LTEなどの高速通信回線に接続してスマートフォンをWi-Fiアクセスポイントとして利用できるテザリング機能を備えた機種も増えてきました。
ホームネットワークでスマートフォンを使用
(ホームネットワーク機器との連携)

ホームネットワーク機器との連携は、スマートフォンに搭載されている無線LANを利用して、
ホームネットワーク(家庭内LAN)に接続されているPCやNASなどの機器内のコンテンツ
(動画、静止画、音楽)を再生するプレーヤーとしてスマートフォンを使用したり、スマートフォン内のコンテンツを配信して、
デジタルTVやパソコン等で再生しようとするものです。
更に、接続機器をスマートフォンでコントロールすることもできるようになります。
このようなホームネットワーク機器との連携を行うためには、
機器間相互接続方式のDLNA
に対応するアプリを搭載する必要がありますが、iOSやAndroidなどのスマートフォン向けOSで動作するDLNA対応アプリを標準で搭載した
(搭載できる)スマートフォンが当たり前になっており、DLNA用のアプリも数多く提供されるようになっています。
また、デジタルTV等で録画したデジタル放送番組をスマートフォンで扱うにはDLNAだけでなく著作権保護方式のDTCP-IPにも対応していなければいけませんが、
2011年秋冬モデル以降は対応機種が増えており、特に、2012年6月にはAndroid4.0対応の単体アプリ「Twonky beam」が初めて提供されるようになっています。
更に、スマートフォンとデジタル家電との連携は家電メーカーも積極的に推進しています。
例えば、AQUOS PHONEはデジタルTVやBDレコーダとの連携を強調しており、
REGZA Phoneも「レグザAppsコネクト」
の仕組みを導入してデジタル家電等との連携をはかっており、これらの機種にはDLNAとDTCP-IPに対応したアプリがプリインストールされています。
他のメーカーも含めたDTCP-IP対応のスマートフォンの詳細については、
「DTCP-IP対応スマートフォン -デジタル放送番組の再生・ダビング-」
のページにまとめてありますので参照してください。
以下では、パソコン・周辺機器やデジタル家電等との連携に着目して
・DLNA対応スマートフォンの種類
・DLNA対応スマートフォンのアプリ
について紹介します。
関連ページ
DLNAの概要やDLNA対応機器、DLNA対応ソフトについては、「DLNAとは」のページに
まとめてありますのでご覧下さい。
スマートフォンはDLNAのバージョン1.5を利用してサーバ機能やコントロール機能を持たせています。
DLNAのバージョンについては、「DLNAのバージョン」のページにまとめてあります。
スマートフォン関連ページ
DLNA対応スマートフォンの種類
アップル社独自のOSであるiOSを搭載したiPhoneや、
グーグルが提供しているオープンソースのOSであるAndroidを搭載したスマートフォンに対して、
DLNA機能を付加するためのアプリ(ソフト)が各種提供されています。
それらのアプリを利用できる製品としては、
以下の表に示したような機種が発売(あるいは発売予定)されておりDLNA対応機器として利用できます。
多くの製品にDLNA対応アプリが標準搭載されるようになりましたが、搭載されていない製品であっても、
最新のほとんどのスマートフォンはアプリを追加すればDLNA機能を持たせるようになっています。
また、ホームネットワーク機器との接続は搭載されている無線LANを利用していますが、 最新のスマートフォンはほとんどが高速無線LAN規格のIEEE802.11nにも対応しており、 高画質な映像もスムーズに扱えるような高速通信が可能になっています。
ドコモ、au、ソフトバンク等のキャリアが扱っている発売予定の新製品と発売中の製品は、下記の各社サイトに一覧表示されています。
各キャリアが発売しているスマートフォンのメーカーと主な機種
ドコモ | au | ソフトバンク | |
Apple |
iPhone 5s/5c (2013年9月) |
iPhone 5s/5c iPhone 5 iPhone 4S |
iPhone 5s/5c iPhone 5 iPhone 4S iPhone 4 |
サムスン |
Galaxy S4 Galaxy SⅢ Galaxy SⅡ Galaxy S |
Galaxy SⅢ Galaxy SⅡ |
― |
ソニーエリクソン ソニー |
Xperiaシリーズ |
Xperia acro |
― |
シャープ |
AQUOS PHONE LYNX |
AQUOS PHONE |
AQUOS PHONE |
東芝 |
REGZA Phone |
REGZA Phone |
― |
パナソニック |
ELUGA LUMIX Phone |
― |
LUMIX Phone |
NECカシオ |
MEDIAS |
MEDIAS |
MEDIAS |
富士通 |
ARROWS |
ARROWS |
― |
HTC |
― |
HTC EVO 3D |
HTC Desire 3D |
LG |
Optimus |
Optimus |
― |
DLNAに対応する(対応できる)ようになった当初の機種を以下に記載しました。
これら以降の機種はほとんどがDLNA機能を利用できるようになっています。
製品名・型番 キャリア メーカー |
商品情報 | 概 要 |
---|---|---|
iPhone 4 ソフトバンクモバイル アップル |
アップル |
画面サイズ:3.5型 OS:iOS 4.1 無線LAN:IEEE802.11b/g/n DLNA対応アプリ(ダウンロード): Media Link Player Lite(無料)、他、 有償版「Media Link Player for iPhone」 が2010年11月に提供。 |
Galaxy S NTTドコモ サムスン電子 |
NTTドコモ |
画面サイズ:4型 OS:Android 2.2 無線LAN:IEEE802.11b/g/n DLNA対応アプリ:AllShare標準搭載 2010年10月下旬発売 |
HTC Desire HD(001HT) ソフトバンクモバイル HTC |
ソフトバンクモバイル |
画面サイズ:4.3型 OS:Android 2.2 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:標準搭載 2010年11月上旬以降発売 |
REGZA Phone IS04 ドコモ 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ |
au |
画面サイズ:4型 OS:Android 2.1 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ/プレーヤー機能搭載 2010年12月~2011年1月発売 |
REGZA Phone T-01C ドコモ 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ |
NTTドコモ |
画面サイズ:4型 OS:Android 2.1 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ/プレーヤー機能搭載 2011年2月発売 |
GALAPAGOS 003SH ソフトバンクモバイル シャープ |
ソフトバンクモバイル |
画面サイズ:3.8型 OS:Android 2.2 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:標準搭載 2010年12月発売 |
LYNX 3D SH-03C NTTドコモ シャープ |
NTTドコモ |
画面サイズ:3.8型 OS:Android 2.1 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ機能搭載 2010年12月発売 |
LYNX SH-10B NTTドコモ シャープ |
NTTドコモ |
画面サイズ:5型 OS:Android 1.6 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ:サーバ機能搭載 Android用アプリ、他 |
Xperia NTTドコモ ソニー・エリクソン |
NTTドコモ |
画面サイズ:4型 OS:Android 1.6 無線LAN:IEEE802.11b/g DLNA対応アプリ(ダウンロード): Android用アプリ、他 |
DLNA対応スマートフォンのアプリ
スマートフォンがDLNA対応機器として機能するには、DLNA対応のアプリが内部にインストールされていなければいけません。
iPhoneの場合は、承認されたDLNA対応アプリが提供されていますので、これをダウンロードして使用します。
OSがAndroidのスマートフォンでは、Google PlayからDLNA対応アプリをダウンロードできますが、
Xperia、Galaxy S、HTC Desire HD、MEDIAS、ARROWS、REGZA Phone、AQUOS PHONEなどのように始めから標準搭載されている機種もあります。
また、デジタルTV等で録画したデジタル放送番組をスマートフォンで扱うにはDLNAに対応し、更に、
著作権保護方式のDTCP-IPにも対応していなければいけません。
MEDIAS、ARROWS、AQUOS PHONE、REGZA Phoneなどデジタル放送番組を扱える最新のスマートフォンは、
DLNAとDTCP-IPに対応しているDiXiM Player/Server(以下で紹介)や自社開発のアプリがプリインストールされています。
DTCP-IP対応の個人向け単体アプリについては、2012年6月に「Twonky beam」が初めて提供されるようになりました。
DTCP-IP対応のスマートフォンについては、「DTCP-IP対応スマートフォン -デジタル放送番組の再生・ダビング-」
のページにまとめてありますので参照してください。
主なDLNA対応のアプリを以下に紹介します。
Twonky Beam(Android/iOS)
米国Twonky社が開発し、NTTドコモの関連会社となったパケット・ビデオ社が取り扱っているアプリです。
DLNAのDMS、DMP、DMC機能を搭載しており、スマートフォンをサーバやプレーヤー(Beam再生)、コントローラ(Beam転送)として利用できるようになります。
デジタル放送の著作権保護方式DTCP-IPにも対応しています。
また、、録画番組や動画をスマートフォンやタブレットにダウンロードして保存することができる特徴があります。
家庭内で再生・視聴できるだけでなく、スマートフォンなどのメモリに保存して持ち出せるので、外出先などの家庭の外でも視聴できるようになります。
更に、YouTubeやU-NEXTなど各種のインターネット動画サイトにアクセスして動画コンテンツを再生・視聴することもできます。
Twonky Beamの詳細な使い方については、下記のページをご覧ください。
「Twonky Beamでデジタル放送や動画を再生・視聴」
「Twonky Beamの使い方 -放送・ビデオ・画像・音楽のストリーミング再生をスマホで操作-」
Skifta(Android 2.2以降向け)
「Skifta」
はDLNAガイドラインを策定しているアライアンス「Digital Living Network Alliance」
の正式認証を取得した初めてのアプリです。
PCやNASに保存されているコンテンツを無線LAN経由で再生するクライアント機能だけでなく、
サーバー機能も備えているのでスマートフォンに保存してある動画、静止画、音楽などを無線LAN経由でDLNA対応機器(デジタルTV、PC、ゲーム機など)
で再生させることができます。また、PicasaやFacebook上の写真、インターネットラジオ、
インターネットTVの動画などインターネット上のコンテンツにアクセスしてDLNA対応機器で再生させることも可能です。
2012年1月にラスベガスで開催された国際家電ショーCESのDLNAブースでは、Skiftaを使用したデモが行われていました。
Skiftaの詳細な使い方については、下記のページをご覧ください。
「スマートフォン用DLNAアプリ「Skifta」の使い方(1)-概要とクライアント機能-」
「スマートフォン用DLNAアプリ「Skifta」の使い方(2)-サーバ機能とコントロール機能-」
「スマートフォン用DLNAアプリ「Skifta」の使い方(3)-動画・音楽・画像(写真)の再生結果」
NetFront Life Connect(Android向け)
「NetFront Life Connect」
はACCESS社が提供しているAndroid向けのDLNA対応アプリです。
DLNA(Digital Living Network Alliance)の正式認証を取得しており、Google Playから入手できます。
ホームネットワークに接続されているPCやネットワーク接続ハードディスク(NAS)に保存しているコンテンツをスマートフォンで再生したり、
スマートフォンに保存してあるコンテンツをホームネットワークに接続されたデジタルTVやPCで再生することが可能です。
また、DLNA対応機器に保存してあるコンテンツを、スマートフォンでコントロールしてデジタルTVやPCで再生させることもできます。
DiXiM Player/Server(Android向け)
DLNA関連ソフトの開発・販売を行っているデジオン社がCEATEC JAPAN 2010
(2010年10月5日~9日に幕張メッセで開催)で発表・出展したアプリです。
2011年2月10日発売の「REGZA Phone IS04」からプリインストールアプリとして採用されるようになりました。
DLNAやUPnPに対応する機器と連携することができ、プレーヤー機能、プッシュコントロール機能、
ストリーミング配信機能を持っています。
また、DTCP-IPにも対応しており、デジタル放送の録画番組の再生やスマートフォンへの持ち出し(ダビング)
を行うことができます。
プリインストールされている当初の主なスマートフォンとしては、
MEDIAS(ドコモ:ES N-05D、LTE N-04D)
ARROWS(ドコモ、au:2011年12月、2012年1月発売)
REGZA Phone(ドコモ:T-01D、au:IS11T)
などがありますが、最新機種などの詳細は下記のページにまとめてあります。
「DTCP-IP対応スマートフォン -デジタル放送番組の再生・ダビング-」
DiXiM Digital TV for iOS(iPhone、iPad、iPod touch向け)
DLNAとDTCP-IPにも対応しているので、パソコンやNASに保存した動画・画像・音楽だけでなく録画番組も再生することができます。
更に、2013年8月30日にVer.2.0.0が公開されてDTCP-IPの新バージョンDTCP+にも対応するようになり、
家庭内の録画番組をインターネット、公衆回線を経由して外部からでもスマートフォンでストリーミング再生することができる特徴があります。
DTCP+の詳細は下記のページにまとめてあります。
「DTCP+とは(1) - 録画番組をインターネットを介して外出先で再生・視聴 -」
「DTCP+とは(2) - DTCP+対応製品と使い方 -」
Media Link Player(iPhone向け)
iPhone向けのDLNA対応アプリ「Media Link Player」
は(株)アルファシステムズから提供されており(UPnPサーバにも対応)、App Storeでダウンロードできます。
DLNAデバイスクラスのM-DMS、M-DMP、DMCに対応しており、
サーバ機能(M-DMS)はiPhone内のコンテンツを他の機器に配信することができます。
また、コントローラー機能(DMC)はサーバ機器内のコンテンツをレンダラー機器へ配信して表示させることができます。
更に、サーバを横断したコンテンツ検索や、各サーバ内のコンテンツから好みのプレイリストを作成できるなどの特徴があります。
ファイル形式は、MP4・M4V(H.264&AAC-LC)、MP3、AAC、JPEG、PNGなどに対応しています。
なお、DLNAのプレーヤー機能(M-DMP)だけを搭載した無償版の「Media Link Player Lite」も提供されています。
AllShare(Galaxyシリーズ向け)
Galaxyシリーズに標準でプリインストールされているサムスン社のDLNA対応アプリ(ソフト)です。
Galaxyシリーズ内のコンテンツをホームネットワークに接続された機器に配信するサーバ機能や、
他のDLNA対応機器内のコンテンツを再生するプレーヤー機能や、他の機器をリモートコントロールするコントロール機能を持っています。
AllShareの紹介ビデオ(サムスン社制作)は、
「インターネット動画サイトのデモビデオ集」のページに掲載してありますのでご覧ください。
RZ見るナビ(REGZA Phone向け)
RZ見るナビは、レグザAppsコネクトで利用されるアプリですが、
DLNA機能を持っており、DTCP-IPにも対応しています。
Google Play等のサイトから入手できます。
DLNAサーバー機能を持つレグザブルーレイ等で録画した番組をスマートフォンやタブレットからコントロールして、
DLNAレンダラー機能を持つREGZAに表示させることができます。また、リモコン機能やタグリスト機能も持っています。
なお、「RZ見るナビ」のDLNA機能を利用すると、東芝以外のメーカーのDLNA対応サーバー機器(録画テレビやレコーダー)
で録画した番組もREGZAに表示できる場合があります。
(例)日立の録画テレビやソニーのBDレコーダー等の一部機種
その他のスマートフォンアプリ
Android搭載機器向けのDLNA対応アプリソフトは、
Google Play
等のサイトでも各種紹介されていますので参照してください。
但し、iPhoneの場合はアップルが承認したアプリなので信頼性は高いですが、AndroidをOSとして使用している場合は、
Androidがオープンソースであるため信頼性の低いアプリもありますので使用する際には注意してください。